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15周年記念セミナー「ワールド・イズ・ブルー」
“深海の女王”シルビア・アール博士が講演
2010年9月16日

 日経ナショナル ジオグラフィック社は、日本版創刊15周年を記念して、米ナショナル ジオグラフィック協会付き研究者シルビア・アール博士を招き、8月3日に東京コンファレンスセンターでセミナー「ワールド・イズ・ブルー」を開催しました。このイベントには500人以上が出席し、アール博士らの話に熱心に聞き入りました。

 セミナー「ワールド・イズ・ブルー」の内容は動画でご覧いただけます。

シルビア・アール博士の講演(1時間5分)

講演は同時通訳で行われましたが、本動画はオリジナル音声のままになります

パネル・ディスカッション(1時間4分)

講演は同時通訳で行われましたが、本動画はオリジナル音声のままになります

 アール博士は世界的に著名な海洋学者で、総計6500時間以上におよぶ70回以上の潜水遠征をし、海中1000メートルでの単独潜水を含むさまざまな潜水歴を持ち、これまでの海洋生態研究から、世界の海の現状を紹介しました。

 また、アール博士は、米グーグルの地球儀ソフト「Google Earth」に海洋データの表示機能を盛り込むよう提案して米グーグルと開発を進め、新機能「オーシャン」を2009年に搭載させたことでも知られています。
 今回の講演会では、米グーグル社でGoogle EarthやGoogle Mapsなど地図部門を担当するジョン・ハンケ副社長をゲストとして招き、Google Earthを使って、どのようなことを知ることができるのかを紹介してもらいました。
 日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)からは、深海・地殻内生物圏研究プログラム・ディレクターの高井研博士を招き、日本が世界に誇る有人潜水艇「しんかい6500」のミッションをGoogle Earth上で再現するデモについて、解説をしてもらいました。

 過去50年間に世界中の海は大きく変容して、海洋生物は大型魚をはじめとして以前の約10%にまで数を減らしています。アール博士は、「今後10年が、海洋保護において最も重要な時期」になると力説します。今ならば世界のサンゴ礁の約半分は、まだ健康な状態で残っています。また、海洋生物も10%は生き延びています。「いま行動を起こすことが重要で、いま行動を起こさなければ、失われるものは多大で、回復を試みることは難しい」と、アール博士は語ります。

 また、米国メキシコ湾沖で起きた史上最大の原油流出事故となった油田掘削基地「ディープウォーター・ホライゾン」の爆発炎上事故では現地で知見を生かして環境保全を進めたり、米議会の公聴会で証言をして政府の支援を求めたりするなど、精力的に活動を行ってきました。
 ナショナル ジオグラフィックの2010年10月号では、メキシコ湾の原油流出事故の実情を詳細に紹介する特集を掲載しています。講演会では、アール博士が最新号の内容を特別に紹介しました。

 また、講演会に引き続き、パネルディスカッションも実施。アール博士と、米グーグルのジョン・ハンケ副社長、JAMSTECの高井研博士に加えて、ノンフィクション作家で獨協大学経済学部特任教授の山根一眞氏を加えて、世界の海洋が抱える問題などについて討論を行いました。

シルビア・A・アール Sylvia A. Earle

1935年米国ニュージャージー州生まれ。海洋探検家、海洋学者で、米ナショナル ジオグラフィック協会付き研究者。ニューヨーク・タイムズ紙から「深海の女王陛下」「チョウザメ将軍」などのニックネームを与えられ、1998年にはタイム誌の「地球のヒーロー」に選ばれた。海洋生態系調査における第一人者として総計6500時間以上におよぶ70回以上の潜水遠征をし、海中1000メートルでの単独潜水を含むさまざまな潜水歴を持つ。2009年には、「世界を変えようとしている人物」に毎年贈られるTEDプライズを受賞。海洋版「Google Earth」の生みの親としても知られる。

著書紹介
ワールド・イズ・ブルー
乱獲、汚染、絶滅――母なる海に迫る危機

『ワールド・イズ・ブルー
乱獲、汚染、絶滅――母なる海に迫る危機』

シルビア・アール著、古賀祥子 訳
定価(2200円+税) ※税込2310円
四六判、上製、本文320ページ
8月2日発行

(本書の紹介:カバーそでより)
約40億年前に生命誕生の舞台となり、今もすべての生物にとってかけがえのない海に、重大な危機が迫っている。米ナショナル ジオグラフィック協会付き研究者のシルビア・アールは警告する。1950年代以降、大型魚の数は約1割にまで減少し、浅い海のサンゴ礁のほぼ半数が消失。さらに、“死の海域”の急増や酸性化など、深刻な問題が山積みにもかかわらず、海の保護は遅れている。海はもう待てない。海を知り、行動することからまず始めよう。海と私たちの未来を守るために――。豊富な体験と最新の知見をもとに、海洋生態調査の第一人者が訴える「青い地球」の憂鬱な現実と明日への処方箋。


深海の女王がゆく
水深1000メートルに見たもうひとつの地球
『深海の女王がゆく
水深1000メートルに見たもうひとつの地球』

シルビア・アール著、伯耆友子 訳
定価(1200円+税) ※税込1260円
四六判、上製、本文96ページ
7月26日発行予定

海洋版「Google Earth」の生みの親で、米大統領やロシア首相と海洋保護でわたり合い、、09年「世界を変える人物」として米国で表彰された今もっとも目を離せない海洋学者が語る! 独占インタビューを収録!


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