地球のいのち

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いのちの重さを見つめる体験の大切さ

魚を興味の対象としていると、食べ物としては見られなくなるような気がしますが、そのへんで悩んだことはありませんか。

 自分の場合は、「お魚ってかわいい!」から入りました。それからは、それぞれのお魚の暮らしに注目すると、どのお魚も一生懸命生きている!そして、お魚を漁獲するために漁師さんがものすごく一生懸命だということが、漁船に乗せていただいて分かりました。大自然の中で、時には、漁師さんは命をかけて漁をされています。お魚と漁師さんの懸命さに「お魚をいただけることの“ありがたさ”と喜びをますます実感。骨までおいしくいただかないと!」と思うようになりました。

 実は、初恋のお魚がいたんです。ウマヅラハギなんです。小学生のとき水族館の下じきで一目ぼれ。優しげな目と水墨画のような模様、優雅な動きに夢中になって、「家で飼いたい!」と思うようになりました。

 それで、お魚屋さんやお料理屋さんに行っては「生きているウマヅラハギがいたらゆずってください」と頼み込みました。あるとき、自転車をこいで探し回っていたら、いたんです!お料理屋さんの生け簀で泳いでいた!もう大興奮で家に帰り、再び母親につれていってもらって、「ウマヅラハギをください!」とお店の方に頼みました。そうしたらお店のお兄さんが「ちょっと待ってな」と……。もう、ウキウキです。でも、店の方はなかなか戻ってこない。おかしいなと待っていると、やがて戻ってきて「へい!お待ち」と差し出されたのが、大きなお皿。「ぎゃあああ!お刺身になっている!!」。活き造りにされていたんです。悲しげな目をして、チュンチュン鳴くんですよ。自分がくださいなんていったばっかりに、ごめんねと、こっちも泣いてしまいました。

 「でも、せっかくだから食べてごらん」とお店の方が言ってくれました。自分のためにこういう形になったんだから、いただかなければと一切れ取ると、お刺身がキラキラ虹色に輝いている。あまりにもきれいで驚きました。口に入れると、跳ね返ってくるような歯ごたえ。さらに、噛めば噛むほど、ほのかな甘みがポワ~ッと口の中に広がる。「お刺身って甘いんだ」と知りました。続いて、隣にあった肝を食べてみると、ひゃーーーー!!それはもう、天にも昇るようなフワフワ~とした甘さです。この世で、こんなに、心の底から甘いと思えるものがあったのか、というほどの甘さでした。

 姿を見ると泣けてくるけれど、口に入れるとおいしい。この対比。お魚をいただくということは、命をいただくということなんだ、だから骨まで愛してありがたく全て美味しくいただかなくては!と思いました。

鮮烈な体験ですね。本当に、命をかみしめたわけですね。一種の自然体験というか。人間は「生きているものを食べるのだ」ということに向き合うことは大切ですね。

 はい!飼うこともそうです。少年のころ、港で釣ったマハゼを飼っていました。海の水を汲んできて金魚用の器具で飼いました。飼い始めて2~3週間経ったころ、熱帯魚を売っているお店で、夢のような青く輝くお魚をみつけ心が躍りました。そのお魚は、ルリスズメダイ。値段は200円ほど。お小遣いで買いました。マハゼのくらす水槽に入れようと思い大急ぎで帰りました。さっそく「マハゼちゃん、お仲間が増えたよ」と水槽に入れたら、びっくり。あの青い輝きが一瞬で真っ黒になり、ピクリとけいれんして水槽の底に沈んだっきり、動かなくなってしまいました。あまりのショックに涙が止まりませんでした。

 考えてみれば、マハゼはものすごく耐えていたのです。釣ったときに持ってきた水をそのまま使っていたので、水が蒸発して塩分が濃くなっていただろうし、マハゼの排泄物のアンモニアとかで水は相当汚れていたけれど、気付いてあげられなかったのです。水の温度も10度か15度くらいでした。そこに水温25度くらいの環境で生きてきたルリスズメダイを水の温度も水質も合わせずに、いきなり入れてしまった。お魚にとって水温1度の違いは、人間にとっての10度くらいの差に相当するといいます。急激な環境の変化にルリスズメダイは堪えきれなかったのです。自分の行動ひとつで、元気に輝いていたお魚が一瞬で、しかも自分の目の前で、命を失ってしまった事に、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

 お魚をはじめ全ての生き物を飼うということは命を大事にすることなのだと、責任があることなのだということに気づきました。尊い命のあるお魚たちが、元気にくらせるためにどうしたらいいか?水温は何度がいいのか?それぞれのお魚になった気持ちで真剣に調べるようになりました。

そのような体験を通し、いのちの重さを子どものころから自然に受け止めて来られたんですね。大人になり、さらに魚や生態系に詳しくなった今、自然の命をどうお考えですか。命は強いものでしょうか。

 秋田県の漁師さんが産卵のために冬、沿岸にやってくるハタハタをたくさん漁獲された結果、ハタハタの資源量がものすごく減ってしまったそうです。そこでハタハタをとることを生業とされる漁師さんたちが、ハタハタが再び秋田の海に戻ってきてくれることを願われ、3年間、禁漁にされました。そして3年後、ハタハタがたくさん秋田の海に戻ってきたそうです。このお話は漁師さんと水産のお仕事をされる皆様に大きな夢と希望を届けてくれます。自然の偉大さを重視して気を配れば、自然には元に戻る力があるんですね。

 でも、今の乱獲や開発など人間活動によって引き起こされた生態系への乱れは、これまでにない変化を自然界にもたらしています。やはり、それを一人ひとりが意識して、皆で一緒に考えて行動しなくてはいけないと思います!小さなころから身近な自然に目を向けていると自然・環境の輝き!素晴らしさ!かけがえのないことに気づき自然と誠実な心になれると思います!!

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