昆虫写真の達人、海野和男さんに聞きました 昆虫撮影のとっておきテクニック

今回の「グレート・ネイチャー・プロジェクト」参加にあたり、屋外で昆虫や動物の写真を撮影しようと考えている人も多いだろう。そこで、昆虫を中心とする自然写真家の第一人者であり、日本自然科学写真協会会長の海野和男氏に、2回にわたって昆虫撮影のコツと注意点などを訊いた。第1回は、基本編としてカメラの使い方や撮影技術を中心に紹介しよう。

★★トンボを正面から接写。絞りを開いて撮影することで、眼だけにピントを合わせて、後ろがボケるようにした。(写真クリックで拡大)

カメラ、レンズは最短撮影距離
が短いものを

 最近は、比較的安価なコンパクトカメラでも、昆虫撮影に適したさまざまな機能が搭載されるようになりました。昆虫や小動物に適しているかどうかのポイントは、接写ができるよう、最短撮影距離が短いことにあります。
 一眼レフ用の新しいズームレンズについていうと、望遠側で接写できるものが増えてきました。かつては高価なマクロレンズが必要でしたが、トンボやチョウのような大きな昆虫ならその必要もなくなりました。

 いずれも、カタログの「最短撮影距離」という項目をよくチェックすることが大切です。
 一方、スマートフォンのカメラ機能は、画質の向上は著しいのですが接写がうまくいきません。ペットなどの写真にはいいのですが、残念ながらその点で昆虫の接写撮影には適していません。

絞りとシャッタースピードの関係を覚える

 一般的なカメラの場合、自動露出(オート)のモードにはプログラム、絞り優先、シャッター速度優先があります。私は目的に応じて、絞り優先とシャッター速度優先を使い分けています。
 絞り優先は、ピントが合う範囲を調節するために使います。背景をぼかしたいときには絞りを開き(絞りの数字を小さくして)、反対に背景までピントを合わせたいときには絞ります(絞りの数字を大きくします)。
 シャッター速度優先は、飛んでいる姿を撮るときに使います。注意したいのは、昆虫の実際の飛行スピードはそれほど速くないものの、体の大きさの割合を考えるとかなりのスピードになることです。そのため、飛んでいるミツバチを静止した姿で撮りたければ、1000分の1秒は必要です。
 私は、昆虫写真にプログラムオートは使いませんが、犬やネコの写真など、身近で大きめな動物の写真を撮るならばプログラムでも構わないでしょう。
 絞りとシャッター速度の設定は、写真で自分の意図を表現するための基本です。そして、シャッタースピードを速くすればするほど絞りは開かれ、絞れば絞るほどシャッター速度が遅くなります。こうした両者の関係を覚えておきましょう。

ピントの合わせ方

 最近の一眼レフカメラでは、AF(オートフォーカス)は当然のこと、被写体の動きを予測してピントを合わせる予測AFという機能がついていますが、昆虫については、トンボのようにほぼ真っ直ぐに飛んで行く昆虫ぐらいにしか使えません。チョウのようにひらひらと不規則に動いていく昆虫の場合、必ずしも予測AFがうまくいくとは限りません。
 私の場合、通常は魚眼レンズにテレコンバーターを付けるという、ちょっと変則的なレンズの使い方をしています。そのため、AFはあまり使いません。動いている昆虫を撮影するときも、ピント合わせは「置きピン」といって、あらかじめ特定の場所にピントを合わせておき、そこに昆虫が来たときにシャッターを押すというテクニックを使っています。

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