/2006年4月号

トップ > スペシャル > 地球からの警鐘 > 再び脚光を浴びる原発




特集

再び脚光を
浴びる原発

APRIL 2006



 では、原子力を再び受け入れる機が熟したというのだろうか。全米では最近、原子炉メーカーの関係者、長期的なエネルギー政策や環境問題を懸念するシンクタンク、電力会社、ブッシュ政権高官、それに政治家たちが「原子力ルネサンス」と喧伝し始めている。化石燃料と縁を切っても、現在の経済水準を下げたくないと考える21世紀の社会にとって、原子力こそは有効性と安全性が立証されている技術だというのが、彼ら原発推進派の言い分だ。  10年前には原発という言葉を口にするのも嫌がっていた環境保護活動家たちでさえも、近ごろでは原発に賛成することがある。今や気候変動の問題は、原子力エネルギーの脅威よりも深刻な問題とみる人は多い。1970年代に自然志向の若者の間でバイブルともてはやされた雑誌『全地球カタログ』を刊行したスチュアート・ブランドは、大気を汚さないクリーンさこそが原子力発電の最大の利点だと、最近発表した寄稿記事で述べている。

 しかしブランドは次のように、くぎを刺すことも忘れていない。「原子力には確かに問題も山ほどある。事故の危険性、廃棄物の貯蔵、莫大な建設費――。そして核燃料は、兵器に転用される危険性もはらんでいる」。新たな原発を建設する際に、こうした問題が障害になることは誰もが認めるだろう。原発への認識が変化してきたとはいえ、核に対するアレルギーは多少やわらいだ程度だ。

 米国の動向を注視しながらも、独自の道を進む国も少なくない。フランスでは総発電電力量の78%を原子力に依存し、老朽化した原子力発電所の建て替えを検討中だ。

 40年前に原子力発電所の営業運転を開始した日本は、現在55基の原子炉が稼動している世界第3位の原子力発電所保有国だ。合計出力はおよそ4860万キロワットで、日本の総発電電力量の約30%にあたる。

 昨年10月には「原子力政策大綱」が閣議決定され、エネルギーの安定供給と地球温暖化対策への貢献を原子力発電に期待することがうたわれた。さらに、2030年以降も総発電電力量に占める原子力発電の割合を現在と同じ水準の30~40%程度か、それ以上に高めることを目標として掲げている。

 日本には現在、建設が進められている原子炉が2基あり、11基が新設を計画中だ。すべての原子炉が計画通りに建設されると、2014年前後には5800万キロワットの出力が見込まれる。老朽化した原子炉が建て替え時期を迎えるのも、やはりそのころだ。

 インドや中国は、少しでも多くの電力を確保しようと、石炭を燃やす火力発電所の建設に力を入れている。一方で、この2カ国では今後20~30年の間に原子力発電も急成長すると見込まれている。

 中国にはすでに9基の原子炉があり、660万キロワットの発電が可能だが、将来は4000万キロワットの発電を目指している。

Back2/4 pagesNext


ナショナル ジオグラフィック バックナンバー