2011年 シリーズ企画 70億人の地球

第1回 「人口急変で、日本は混乱の時代に」石弘之

(4)つづき

 人口ピラミッドのピークとなっている年代が違うだけで、人口内の年齢ギャップの広がりは、少子高齢化の日本でも起きている。ここで、日本の人口ピラミッドを見てみよう(図3)。

図3
出典 総務省統計局刊行,総務省統計研修所編集「日本の統計 2010」

 ピークは60歳代にあり、途上国のような若年層の膨らみも見あたらない。そして年齢が若ければ若いほど、人口が減る傾向にある逆三角形をなしている。

 また合計特殊出生率(ひとりの女性が生涯に生む女性の数)は1.32人と「歴史的に見て人口が増加に転じる可能性がある合計特殊出生率1.5人」に遠く及ばない。日本の人口減少は今後数十年は続き、日本人が、いや世界の誰もが経験したことのないような、超高齢化社会に突入すると見られる。

 そして残念ながら、人口の60%を占めるといわれる2050年の老人たちを待っているのは、決して明るいとは言えない未来だ。

 「世界が過密におびえる一方で、日本の場合は過疎の拡大、地域社会の崩壊という重大な問題に直面するでしょう」

 石氏はそう断言する。実際に、65歳以上の人口が半数以上を占める「限界集落」とその予備軍は、すでに集落全体の1/3に。そこに暮らすのは、若者の手助けを受けられない、非力な老人たちだ。

 社会福祉も当てにはできない。税金を払う人は激減するのに、被福祉人口は激増する。老人が多い集落では、もっとも必要な存在といえる病院や福祉施設も、閉鎖せざるをえなくなる地域が増えていくと言われる。

 「最後は家族が頼みの綱…と考える人もいるでしょうが、そのころは子供の負担も、現在の何倍も増大している。中国では一人っ子政策で人口増加を食い止めたのはいいけれど、今度はその一人っ子たちが大人になって、高齢化した家族の面倒を誰がどう見るかということが問題になっている」

 一人っ子同士が結婚した場合、両方の親が4人、そしてそれぞれの祖父祖母が8人、合計12人の老人を、ひと組の夫婦が抱えるケースもある。長寿国の日本でも、近い将来同じ事が起きる。いやもう実は、起きているのかもしれない。

(5)「世界の人口増が日本に打撃」へ

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石 弘之(いし ひろゆき)

1940年生まれ。東京大学卒業後、朝日新聞社編集委員を経て、国連環境計画(UNEP)上級顧問、東京大学大学院教授、駐ザンビア特命全権大使、北海道大学、北京大学客員教授などを歴任。著書に、「名作の中の地球環境史」(岩波書店)、「地球環境“危機”報告」(有斐閣)、「地球環境の事件簿」(岩波書店)、「火山噴火・動物虐殺・人口爆発」(洋泉社)など。
福光 恵(ふくみつ めぐみ)

1960年東京都生まれ。美術業界で働いたのち、フリーライターに。日経新聞プラス1「コトバの鏡」、アスキードットPC「自腹で大人買い」などの連載あり。

特集より

少子化とメロドラマ (本誌9月号)

50年間で出生率が3分の1になったブラジル。女性たちが「産まない」決断をしていった背景には何があるのか。メロドラマが一役買ったというが……
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食の未来を守る (本誌7月号)

増え続ける人口を支えるには、食料の増産が欠かせない。だが、限られた品種を大量生産する、これまでの農業に頼っていていいのか。作物の“多様性”を守る必要がある。
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沈む国土に生きる (本誌5月号)

人口が増え、国土が水没しつつあるバングラデシュをレポート。これは対岸の火事ではない。近い将来、世界の人々が直面するかもしれない問題なのだ。
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酸性化する海 (本誌4月号)

人間が大気中に排出した二酸化炭素は、やがて海に吸収され、生き物が生息しにくい環境をつくる。100年後、果たしてサンゴやウニは生きていられるのだろうか。
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地球を変える「人類の時代」 (本誌3月号)

中生代は恐竜の時代、新生代は哺乳類の時代と言われるが、今や「人類の時代=人新世」であるという意見が学界でも強くなっている。人間が未来の地球に残す爪跡とは。
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70億人の地球 (本誌1月号)

2011年に70億、2045年に90億に達する人類。その数と欲望を、地球は支えていけるのか。世界の人口の動向とその抑制のための努力を取材したシリーズ第1弾
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