
(インタビュー、文=福光恵)
(4) 人口ピラミッドがひずみ、
超高齢化社会に
「人口爆発が引き起こすもうひとつの大きな問題は、人口分布の年齢差のギャップが広がること。年代別の人口に大きくバラツキが出て、人口ピラミッドが不自然に歪んでしまう状態です。これは、現在起きているアラブ争乱の大きな引き金になったと考えることもできます」
ピラミッドという名前からもわかるように、これまで人類の人口分布は、出生時が一番多く、そこから年齢とともに死亡者が増え、徐々に人口が減っていく三角形をなすのが普通だった(図1)。ところが人口が激増している途上国では、当然、ピークが若年層にかたよる。つまり10代20代の若者が、人口の多くを占める社会となってしまう。


「ユースバルジ」
そう呼ばれる人口ピラミッドの型がある(図2)。バルジとは、ボートの膨らんでいる部分のこと。つまり「ユースバルジ」とは、人口ピラミッドで、「若年層(ユース)」が、「バルジのように膨らんでいる」状態を指す。
「血気盛んな若者が増えれば増えるほど、必ずや政治や世の中が不安定になってきます。まさに日本では1950年、60年の安保闘争がその時期だった」
またアフリカなどの途上国でも、教育を受けたインテリ層が増えている。高学歴なのに仕事が見つからない。そんな不満を政治にぶつけて、今度は自分がリーダーになる番だと考える若者も増えている。
「野党勢力が膨らみやすいんです。さらに今の若者たちは、情報機器を手に入れたことで、SNSなどで集団としてのネットワークを作りやすい。アラブの争乱は、こうした人口問題が、隠れた背景になっている」
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