2011年 シリーズ企画 70億人の地球

第1回 「人口急変で、日本は混乱の時代に」石弘之
第1回は北京大学客員教授で、環境問題研究者の石弘之氏に、人口の変化にともなって日本にこれから起こる問題を挙げてもらった。石氏は新聞記者時代からこれまで世界約130カ国を訪れ、人類が地球環境に与えるインパクトについて調査報告してきた。「人口の急激な変化が様々な混乱を招く」と語る。
(インタビュー、文=福光恵)

米国の病院で生まれた新生児たち
(1月号「70億人の地球」より)

Credit: JOHN STANMEYER

(2) 急ブレーキがかかった
   人口過剰社会

 日本に少子高齢化を招いた直接のきっかけは、終戦直後にさかのぼる。

 「そもそも明治以降、日本は、過剰人口をどうするかということが課題の国だった。口減らしのため、生まれたばかりの子供を闇に葬ったり、棄老(きろう)と言って、働けなくなった老人が、自ら山に死にに行くという伝説もある。つまり、日本は長い間、深刻な人口過剰社会だったのです」

 第二次世界大戦が終わって間もない1957年頃には、日本でさらなる人口爆発も起きている。一気に人口を膨らませたのは、満州など、海外に移住していた人たちの引き揚げだった。また平和な時代に突入して、その後「団塊の世代」と呼ばれるようになるベビーブーマーたちもつぎつぎ誕生した。

 この人口爆発が問題になり始め、どうセーブするかが議論されるようになったのとちょうど同じころ、朝鮮戦争などで日本は空前の好景気を迎える。高度成長期の始まりだった。

 「先進国に人口が少ない国が多いことからもわかるように、発展途上国の経済力が落ち着けば、人口増加は緩やかになってくる。日本の人口増加にも、ここで急ブレーキがかかった」。 たとえば朝鮮戦争が始まった1950年、日本の人口は約8400万人で、年平均の人口増加率は2.89%と大きい。ところが1960年代になると、人口増加率は1%前後にまで落ちていく。

 そして今回2010年の国勢調査では、人口増加率0.2%と過去最低に。次回5年後の国勢調査では、いよいよ人口減少の局面を迎えると考えられている。「人口が自然に減っていくという現象は、日本の歴史が始まって以来初めて経験すること。これも、戦後まもなくかかった人口増加の急ブレーキの余波といえるでしょう」

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