2011年 シリーズ企画 70億人の地球

第1回 「人口急変で、日本は混乱の時代に」石弘之
第1回は北京大学客員教授で、環境問題研究者の石弘之氏に、人口の変化にともなって日本にこれから起こる問題を挙げてもらった。石氏は新聞記者時代からこれまで世界約130カ国を訪れ、人類が地球環境に与えるインパクトについて調査報告してきた。「人口の急激な変化が様々な混乱を招く」と語る。
(インタビュー、文=福光恵)

変貌する都市ドバイ
(3月号「人類の時代」より)

Credit: JENS NEUMANN / EDGAR RODTMANN

(1) 世界が注目する
   日本の少子高齢化

「人新世(Anthropocene)」
 そんな、耳慣れない言葉がある。1万5000年前の最終の氷期の終わりから現代までを、地質時代区分では「完新世」と呼ぶ。だが、実はこの時代はすでに終わりを告げ、地球は次のフェーズに突入したと考える専門家もいる。その新しい時代を指す造語が「人新世」だ。

 氷河時代が終わるとともに地球の温度が上がり、農耕が開始されて、地球上の人間が爆発的に増えていった「完新世」。それに続く新しい時代「人新世」は、地球上にあふれ出したその人類が、地球環境さえも変えてしまう時代になると言われている。今年1月から本誌で始まった「シリーズ70億人の地球」によれば、「人新世」は、まだ一部専門家の間でのみ使われている言葉にすぎないという。だが、いずれにしても人類は圧倒的なその数で、氷河期の到来に匹敵するほどのインパクトを地球に与えつつあるらしい。

 しかも、人類の勢力はいまなお拡大している。国連人口部の推計によれば、今年後半、世界の人口は70億人に達する。さらに今なお世界では、毎日20万人以上のペースで人口が増え続け、2050年には100億人を突破するという予測もある。

 農耕が始まった新石器時代、地球の推定人口は全体で400万人。それが1万年の時間をかけて、数千倍にもふくれあがった。もちろん地球の大きさは変わっていない。そして人口爆発による過密都市のスラム化、食糧不足、エネルギー資源の枯渇など、「人新世」の災難はまだ、始まったばかりだ。

1/2

特集より

少子化とメロドラマ (本誌9月号)

50年間で出生率が3分の1になったブラジル。女性たちが「産まない」決断をしていった背景には何があるのか。メロドラマが一役買ったというが……
>>特集の紹介ページ

食の未来を守る (本誌7月号)

増え続ける人口を支えるには、食料の増産が欠かせない。だが、限られた品種を大量生産する、これまでの農業に頼っていていいのか。作物の“多様性”を守る必要がある。
>>特集の紹介ページ

沈む国土に生きる (本誌5月号)

人口が増え、国土が水没しつつあるバングラデシュをレポート。これは対岸の火事ではない。近い将来、世界の人々が直面するかもしれない問題なのだ。
>>特集の紹介ページ

酸性化する海 (本誌4月号)

人間が大気中に排出した二酸化炭素は、やがて海に吸収され、生き物が生息しにくい環境をつくる。100年後、果たしてサンゴやウニは生きていられるのだろうか。
>>特集の紹介ページ

地球を変える「人類の時代」 (本誌3月号)

中生代は恐竜の時代、新生代は哺乳類の時代と言われるが、今や「人類の時代=人新世」であるという意見が学界でも強くなっている。人間が未来の地球に残す爪跡とは。
>>特集の紹介ページ

70億人の地球 (本誌1月号)

2011年に70億、2045年に90億に達する人類。その数と欲望を、地球は支えていけるのか。世界の人口の動向とその抑制のための努力を取材したシリーズ第1弾
>>特集の紹介ページ

AD
  • ビデオ 3分でわかる「70億人の地球」
  • ビデオ 3分でわかる「70億人の地球」
ハッシュタグ 「#70oku」 をつけてつぶやいてください

ナショナル ジオグラフィック バックナンバー