ピープル部門から初のグランプリ
世界を夢中にさせるドキュメンタリー写真家の発掘を目指す「日経ナショナル ジオグラフィック写真賞」も今年度で第3回を迎えた。第1回のグランプリは前川貴行さん、第2回は宮武健仁さんが受賞し、それぞれ活躍の場を広げている。
今回は、ネイチャーとピープルの両部門合わせて251人、合計558点(単体写真384点、組写真174組)の作品の応募があった。
写真家の野町和嘉氏と中村征夫氏、そして日本版編集長の大塚茂夫による厳正な審査の結果、グランプリ1点のほか、部門ごとに最優秀賞1点、優秀賞4点が選出された。
2014年のグランプリに輝いたのは、インド北部の辺境の村で暮らす女性を撮影した、竹沢うるまさんの作品。竹沢さんには、賞状と賞金100万円、副賞のほか、4月21日から5月5日までの予定で、米国ニューヨーク市の写真ギャラリー「Foto-Care Gallery」で個展を開催するチャンスが与えられる。
【 審査員講評 】
野町 和嘉(写真家) グランプリ「スピティ谷の女」は、伝統文化を残すヒマラヤ最後の秘境をとらえた貴重な作品。今回の賞金で1カ所に腰を据えた長期取材を敢行し、彼らの暮らしに深く切り込んだ作品を届けてもらいたい。その期待を込めての選出だ。ピープル部門最優秀賞は、全体像が見えないのが残念だが、被写体に肉薄している点を評価した。同優秀賞「漁師」は男性の表情にもうひと工夫ほしいが、早朝の空気感をうまく表現している。 |
中村 征夫(写真家) 昨年よりも、心に訴える作品が多かった。「スピティ谷の女」は、彼女の人生ドラマが垣間見られ、もの悲しい目に強く引かれた。今後は一つのテーマに肉薄した、優れたドキュメントを見せてほしいと思う。ネイチャー部門はレベルが高く、審査にも熱が入った。最優秀賞は、樹木の影や光が映り込む水面、その中をしなやかに泳ぐヘビの真剣な表情をとらえた、詩情的な作品。チャンスを見逃さない確かな視点を評価した。 |
大塚 茂夫( 日本版編集長) 3回目にして初めて、人間をとらえた作品をグランプリに選ぶことができた。過去2回、ピープル部門で力強い作品を見つけられなかっただけに、うれしい。「スピティ谷の女」の魅力は、秘境と呼ばれる伝統的な社会に生きる女性を、印象的な光と影で表現している点だろう。彼女たちの暮らしをもっと見てみたい、と期待させる。一方、今回の応募作品には過去の受賞作と似たテーマが多かったように思う。独自の視点を見せてほしい。 |
日経ナショナル ジオグラフィック写真賞 2014 賞金・賞品
【グランプリ 賞金100万円】
グランプリ受賞者個展を、2015年4月21日より5月5日まで、Foto-Care Gallery( 米国・ニューヨーク市)にて行う予定です。
副賞:
キヤノン/ EOS-1D X
マンフロット/ Gitzo 新マウンテニア2型 GT2542
サンディスク/ エクストリーム プロ コンパクトフラッシュ カード 32GBまたはエクストリーム プロ SDXC UHS-I カード 64GBのいずれかとイメージメイト オールインワン USB3.0 リーダー/ライター
【最優秀賞 賞金10万円】
副賞:
キヤノン/ EOS 5D Mark III レンズキット
マンフロット/ ナショナル ジオグラフィック メッセンジャーバッグ NGW2400
サンディスク/ エクストリーム プロSDHC UHS-I カード 32GB
【優秀賞】
副賞:
キヤノン/ PIXUS PRO-10
サンディスク/ エクストリーム SDHC UHS-I カード 16GB
【 特別協賛 】
キヤノンマーケティングジャパン株式会社
【 協賛 】
ビー・エム・ダブリュー株式会社、
ブライトリング・ジャパン株式会社、
マンフロット株式会社、
サンディスク株式会社、
東急リバブル株式会社、
凸版印刷株式会社
【 後援 】
公益社団法人日本写真家協会、
日本自然科学写真協会、
日本旅行写真家協会、
WWFジャパン、
日本野鳥の会、
NPO法人フォトカルチャー倶楽部、
クラブツーリズム株式会社