国際的に活躍できるドキュメンタリー写真家を発掘し、日本から世界へ送り出したい―。そんな願いを込めて創設された日経ナショナル ジオグラフィック写真賞。その第2回の受賞作品が、写真家の野町和嘉氏と中村征夫氏、ティム・レイマン氏、日本版編集長の大塚茂夫による審査で決定した。
今回の応募者の総数は、ネイチャーとピープルの両部門を合わせて389人。合計1003点の作品のなかからグランプリ1点のほか、部門ごとに最優秀賞1点(ピープル部門は今回該当作なし)、優秀賞を各4点選出した。
グランプリに選ばれたのは、ゲンジボタルやヒメボタル、ホタルイカ、ヤコウタケ、火山の噴火といった自然界のさまざまな「光」をとらえた、宮武健仁さんの作品。宮武さんには、賞金・賞品のほか、米国ニューヨークの写真ギャラリー「スティーブン・キャッシャー・ギャラリー」で個展を開催するチャンスが与えられる。
【 審査員講評 】
野町 和嘉(写真家) グランプリ「輝く光景」は切り口が新鮮で、アップやロングを織り交ぜた組み方もうまい。ネイチャー部門の「2年7ヶ月後の震災の海」は努力賞。震災直後から海中を記録し続けているだけに、もう少しインパクトがほしかった。ピープル部門は残念ながらずば抜けた作品なし。世界へ羽ばたくためのジャンプ台を用意した、ナショナル ジオグラフィック日本版の思いにぜひ応えてほしい。 |
中村 征夫(写真家) 「輝く光景」は光に焦点を当てた力作。2種類のホタルの生態の違いや、桜島噴火の瞬間をよくとらえている。「Fly Away」も、鋭い観察力で自然の一部を切り取った作品。波紋によって生き物の動きが伝わってくる。ピープル部門は全体にアクションに乏しく、まとまり過ぎた印象。光やアングルの違い、表情の変化などを追い、一つのテーマにじっくり取り組んだ作品を期待したい。 |
ティム・レイマン(写真家) グランプリ作品は、異なる自然の光を組み合わせた着想がユニーク。組写真でも一枚一枚が強さのある写真となっていることが大切だ。ネイチャー部門最優秀賞「Fly Away」の被写体は身近な生物だが、何だろう? と思わせるミステリアスな第一印象とのギャップが効果を上げている。同優秀賞「オナガラケットハチドリ」は、的確な技術で鳥の細部とスピード感の表現をうまく両立させている。 |
大塚 茂夫(日本版編集長) 宮武健仁さんの作品は、自然界にある多様な光を改めて気づかせてくれた。そして同時に、私たちが日ごろ忘れている夜の暗さを教えてくれるものでもある。5枚の構成力は秀逸だ。今回、ピープル部門で最優秀賞を選出できなかったのが何より残念。人間と対峙し、その生きざまを記録することはドキュメンタリー写真の一つの柱だろう。来年はそうした力をもった作品を期待したい。 |
日経ナショナル ジオグラフィック写真賞 2013 賞金・賞品
【グランプリ 賞金100万円】
グランプリ受賞者個展を、2014年5月に米ニューヨークチェルシーの【steven kasher gallery】にて行う予定です。
副賞:
キヤノン/ EOS 5D MarkⅢ・EF24-105L IS U レンズキット
マンフロット/Gitzo トラベラー三脚 GT1544T
サンディスク/ エクストリーム® プロ™、コンパクトフラッシュ® カード 32GB
【最優秀賞 賞金10万円】
副賞:
キヤノン/PowerShot G1 X
マンフロット/ナショナル ジオグラフィック 大型ショルダーバッグ NG2478
サンディスク/エクストリーム® プロ™ SDHC™ UHS-I カード 16GB
【優秀賞】
副賞:
キヤノン/インクジェットプリンター PIXUS MG6530
サンディスク/エクストリーム® SDHC™ UHS-I カード 16GB
【 特別協賛 】
キヤノンマーケティングジャパン株式会社
【 協賛 】
ビー・エム・ダブリュー株式会社、
マンフロット株式会社、
サンディスク株式会社、
凸版印刷株式会社
【 後援 】
公益社団法人日本写真家協会、
日本自然科学写真協会、
日本旅行写真家協会、
WWFジャパン、
日本野鳥の会、
NPO法人フォトカルチャー倶楽部、
クラブツーリズム株式会社