NATIONAL GEOGRAPHIC






第9号
[5月26日]
ジェームズ・L・
スタンフィールド

第8号
[5月19日]
サム・エイベル
第7号
[5月12日]
クリス・ジョンズ
第6号
[4月28日]
マイケル・ヤマシタ
第5号
[4月21日]
マイケル・ニコルズ
第4号
[4月14日]
デビッド・デュビレ
第3号
[4月7日]
ウィリアム・アルバート・アラード
第2号
[3月31日]
デビッド・アラン・ハーベイ
第1号
[3月24日]
ジョディ・コッブ
創刊前号
[3月17日]
ジョエル・サートレイ







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 ヤマシタは、独学のアマチュア写真家として撮影の道に入った。「自分が訪れた場所を写真に残したくて、カメラを買ったんだ。仕事にするつもりはなかったが、次第に写真にのめりこむようになった」。写真を始めて2年後には、東京の小さな雑誌で定期的に仕事をするようになった。フィリピンやシンガポール、タイを訪れた彼は、70年代半ばのアジアに満ちていた活気を肌で感じたという。つまり、しかるべき時に、しかるべき場所にいたわけだ。

 「ナショナル ジオグラフィック」誌ではさまざまな題材を手がけてきたが、中でも高い評価を受けたのは1989年11月号の日本庭園の特集だった。このときの作品は後にワシントンのナショナル・ギャラリーに展示され、その後出版した写真集のベースにもなった。風景写真のワークショップで教えるようになったのも、この成功がきっかけだ。「この特集と写真集のおかげで、実際には多くの写真で人物を撮っていたにもかかわらず、私はすっかり禅的な風景写真の専門家ということになってしまった」とヤマシタは言う。

 好意的な反応はありがたかったが、既存の枠にはめ込まれたくはなかった。「次の大きな仕事がメコン川の撮影だったのは、運がよかった」とヤマシタは振り返る。インドシナ半島の生命線、メコン川の特集は1993年2月号に掲載された。「大河の水源から河口までをたどる一種の冒険紀行で、息をのむほど美しい景色から、地雷の犠牲者やアヘンの吸引者まで、あらゆるものを撮影した」。その後も分野を狭く限定せずに、インドネシアの森林火災(1998年8月号)のような報道的な色彩の強い特集や、中国・広東省の経済的発展(1997年3月号)を取り上げた特集など、幅広いテーマに取り組んでいる。

 米国バーモント州の四季を綴った特集(1998年9月号)は、印象派の絵のような仕上がりになった。池の水面に揺らめく木の葉、窓ガラスの霜にきらめく光、風にひるがえるウルシの葉の鮮やかな赤――独創性を自由に発揮できるこの仕事を、ヤマシタは大いに楽しんだ。「季節感をテーマとしたこの特集では、感性に訴える写真が求められた。特定の対象や景色を撮るのと違って、非常に抽象的な仕事だった」

 ヤマシタが取材で夜明けや夕暮れの写真を撮りそこねることはまずないが、特定の光へのこだわりはないという。「晴天ばかりを狙うタイプでもないね。むしろ、雨の中で撮るのは好きなんだ」という。「陰影のない穏やかな光の中、すべてのものが濡れてつややかな色になり、独特の雰囲気が出る。極端な明暗差もないため、細部まで表現できるのもいい」




スマトラ島ではこの日、森林火災で発生した有毒な煙霧が真昼の太陽を覆い隠していた。この光景を写真で表現するには、試行錯誤が必要だった。「広角レンズではこの雰囲気をうまく再現できなかった」とヤマシタは振り返る。「一方、超望遠レンズでは煙霧が“圧縮”されてしまい、先がまったく見通せなくなってしまった」。結局、望遠ズームレンズを135mmから180mmの間に設定することで、この写真が撮影できた。


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