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宇宙飛行士って面白い!

一口に宇宙飛行士と言っても十人十色。ラーメンの作り方も、それぞれ違います。
「宇宙飛行士って、大変だけど、面白い!」。彼らの魅惑の日常を、宇宙飛行士を取材して20年以上になるライターの林公代さんに語ってもらいます。
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【第16回】
得体のしれない深さ (野口聡一さんインタビュー2)
2010年8月16日

 日本人最長の161日間、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在した野口聡一宇宙飛行士は、「宇宙生活者ならでは」の新しい感覚を得たという。たとえば、時間の感覚がその一つだ。

 野口さんが暮らしたISSは、秒速8kmの超高速で地球の周りを回っている。日の出と日の入りが45分ごとに訪れるという、まるで映画の「早送り的な」風景が窓の外に広がる。そのためISS内の時間は便宜上、グリニッジ標準時を使っている。

野口さんが「もっとも仮想現実的」という写真。サウジアラビア東部の砂丘の間に滑走路が見えて「現実と思えないような不思議さだった」。(写真=NASA)

 そのISSから、地球の時間の流れはどんな風に感じるのだろうか。

 「ヨーロッパ上空で夜景を見ていたかと思うと、数十分の間にシベリアから日本上空にさしかかり夜明けが訪れる。それぞれの場所には、ローカルな『時刻』が点在している。まるで『時間を飛び越えているような感覚』がした」と野口さんは言う。

 本当はISSの中の時間のほうが、人工的に決められた時間だ。でもその時間に沿って暮らすうちに夜が来れば眠くなるし、朝は自然に目覚めてお昼にはお腹がすく。自分にとってISSの時間のほうがリアルに流れる、確かな時間になっていく。

 逆に、地上の時間は「仮想時間」としか思えなかった。目の前に、現実離れした美しい景色が刻々と移り変わっていく。宇宙にいる自分とは無関係に、断続的にその土地の時刻が存在する。まるでISSと別世界の「仮想現実」のように思えてくる。

 だが、地上の風景を撮影してツィッターに掲載すると、「自分たちの街を撮ってくれてありがとう」とメールがくる。仮想現実と思えた街に名前があり、確かに住んでいる人がいるのだという、現実に引き戻される……。

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林 公代(はやし きみよ)
福井県生まれ。
日本宇宙少年団の情報誌編集長を経て、フリーライターに。著書に『宇宙の歩き方』、『宇宙においでよ!』(野口聡一氏と共著)など。

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