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宇宙飛行士って面白い!

「宇宙船 冬の砂漠に……」。国際宇宙ステーション(ISS)から本誌に「野口聡一の宇宙で一句」を寄稿してくださっている野口聡一宇宙飛行士。野口さんたちは、ISSでどんな暮らしをしているのでしょう? 宇宙に飛び立つまでに、どんな苦労を重ねてきたのか。一口に宇宙飛行士と言っても十人十色。ラーメンの作り方も、それぞれ違います。「宇宙飛行士って、大変だけど、面白い!」。彼らの魅惑の日常を、宇宙飛行士を取材して20年以上になるライターの林公代さんに語ってもらいます。月2回連載。
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【第13回】
宇宙から見える人工物
2010年6月29日

 やや古い話だけれど「火星の人面岩(The Face on Mars)」って聞いたことがありますか?

 1976年、NASAの火星探査機「バイキング1号」が火星の北半球にあるシドニア地方を撮影した画像の中に、形や光の加減で人間の両目、鼻、口に見える不思議な地形が発見された。同年7月31日、NASAが「人間の頭部に似た地形」として発表したために、世界中の火星マニアは騒然となった。「火星の知的生命が建造したピラミッドだ!」「いや、崩壊した都市の廃墟だ」などの説が飛び交い、盛り上がる。

火星の人面岩。
左:バイキング1号が1976年に撮影した画像。中央が人面岩。(写真=NASA)
右:ESAのマーズ・エクスプレスが2006年に撮影した人面岩の立体画像。(写真=ESA/DLR/FU Berlin (G. Neukum), MOC (Malin Space Science Systems))

 だが、1996年に打ち上げられたNASAの「マーズ・グローバル・サーベイヤー」が同地点を観測。自然にできた地形であり、人工物でないことが判明した。

 さらに2006年9月には、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の火星探査機「マーズ・エクスプレス」が人面岩の立体画像の撮影に成功。人面岩の周囲には、斜面から崩れ落ちた岩石が堆積した地形が多く見られ、人面岩も大きな堆積物が崩れた後に、その表面を溶岩が覆ったものと考えられると発表された。

 「火星人が作ったピラミッドなんてあるわけない!」と心の奥でささやきながら、火星には生命がかつて存在したかもしれないという科学的興味も相まって、こういう話題には想像をかき立てられて、ネタとして楽しめる。

火星の西経31度、南緯51度にあるニコニコマーク「ハッピー・フェース・クレーター」。NASAのマーズ・グローバル・サーベイヤーが撮影。(写真=NASA/JPL/Malin Space Science Systems)

 実は火星に私のお気に入りの地形がいくつかある。たとえば、ニコニコマークのように見えるクレーター(NASAは「ハッピー・フェース・クレーター」と名付けている)やハート形の地形。大気があり、最近まで水が流れていたと考えられている火星には、アメリカ大陸を東西に横断するほどの長さがある大峡谷マリネリス、太陽系最大の火山オリンポス山など、ダイナミックでユニークな地形が満載なのだ。

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林 公代(はやし きみよ)
福井県生まれ。
日本宇宙少年団の情報誌編集長を経て、フリーライターに。著書に『宇宙の歩き方』、『宇宙においでよ!』(野口聡一氏と共著)など。

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