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宇宙飛行士って面白い!

「宇宙船 冬の砂漠に……」。国際宇宙ステーション(ISS)から本誌に「野口聡一の宇宙で一句」を寄稿してくださっている野口聡一宇宙飛行士。野口さんたちは、ISSでどんな暮らしをしているのでしょう? 宇宙に飛び立つまでに、どんな苦労を重ねてきたのか。一口に宇宙飛行士と言っても十人十色。ラーメンの作り方も、それぞれ違います。「宇宙飛行士って、大変だけど、面白い!」。彼らの魅惑の日常を、宇宙飛行士を取材して20年以上になるライターの林公代さんに語ってもらいます。月2回連載。
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【第12回】
二つの帰還劇
2010年6月18日

 宇宙への旅立ちはドラマチックだが、帰還にはハラハラさせられる。やり直しがきかない一発勝負。その緊張感は打ち上げ以上かもしれない。6月には、そんな“帰還劇”が二つあった。

 まず6月2日には、163日間の宇宙滞在(日本人で最長記録)を終え、野口聡一宇宙飛行士がソユーズ宇宙船で帰還した。

パラシュートを開いてカザフスタンの草原に落ちるソユーズ宇宙船。(写真=NASA/Bill Ingalls)

 NASAのスペースシャトルは国際宇宙ステーション(ISS)を離れてから約2日間かけて帰路につき、飛行機のように滑走路に着陸する。一方、ロシアのソユーズ宇宙船はISSから分離して、約3時間半後には着地という早さ。翼のないカプセル型の宇宙船は、パラシュートで、ずどーんとカザフスタンの平原に落ちてくる。

 その間に、宇宙飛行士が体に受ける重力加速度(G)は4Gにも達し、スペースシャトルの1.6Gに比べてかなり過酷だと聞いている。

 野口飛行士は帰国後の6月9日に開かれた記者会見で、大気圏に突入する際の「強烈な5分間」について、次のように語った。「(宇宙船に座ると)顔のすぐ横に窓があった。大気圏への再突入時、窓の外がオレンジ色の火の玉に変わっていき、空気の海に入るとものすごい騒音と光と振動と加重が、いっぺんにかかってきて小さな宇宙船をゆする。無重力から4Gに達するまで5分ほど。非常に強烈な印象として残っている」

 約半年ぶりに帰ってきた地球は、懐かしいというより「明らかに違う世界に来た」感覚があったという。「カザフスタンの広い平原は空が抜けるように青くて、猛烈な草と土の匂いがする。人類が他の星に移住し、地球に帰ってきたときに感じるであろう感覚を体験したと思う」

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林 公代(はやし きみよ)
福井県生まれ。
日本宇宙少年団の情報誌編集長を経て、フリーライターに。著書に『宇宙の歩き方』、『宇宙においでよ!』(野口聡一氏と共著)など。

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