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宇宙飛行士って面白い!

「宇宙船 冬の砂漠に……」。国際宇宙ステーション(ISS)から本誌に「野口聡一の宇宙で一句」を寄稿してくださっている野口聡一宇宙飛行士。野口さんたちは、ISSでどんな暮らしをしているのでしょう? 宇宙に飛び立つまでに、どんな苦労を重ねてきたのか。一口に宇宙飛行士と言っても十人十色。ラーメンの作り方も、それぞれ違います。「宇宙飛行士って、大変だけど、面白い!」。彼らの魅惑の日常を、宇宙飛行士を取材して20年以上になるライターの林公代さんに語ってもらいます。月2回連載。
> 著者プロフィール

【第9回】
ロシアは野菜、日本は新車?
2010年4月28日

 「宇宙の匂い?」。本誌5月号の「野口聡一の宇宙で一句」を読んで、ちょっと不思議に思った人がいるかもしれない。宇宙は空気のない真空だから、匂いもなければ音もしないはずではないだろうか、と。

 確かに宇宙空間に匂いはない。だが、人工的に作られた宇宙ステーションや宇宙船には空気が満たされている。さらに、そこに生きる人や物が発する独特の「匂い」に満ちているのだ。

 たとえば、今、地球上空400キロを飛行している国際宇宙ステーション(ISS)にはロシア、米国、日本、ヨーロッパの実験棟・居住棟がある。そして実験棟によって、匂いが異なるらしい。

ロシア居住棟での食事風景。(写真=NASA提供)

 ロシア居住棟は「野菜の匂い」。そこにある大きなテーブルに宇宙飛行士たちが集って食事をするためだ。食卓にはNASA製、ロシア製、日本製の宇宙食が並ぶが、ロシア宇宙食にはボルシチをはじめ、野菜を使った煮込み料理が多い。またロシア人飛行士は地球から貨物船が届く際に、しばしば玉ねぎをリクエストし、到着した玉ねぎを生でかぶりつく。だから「玉ねぎの匂い」と表現する人もいる。

 一方、ISSで最後に取り付けられた日本実験棟「きぼう」の匂いは対照的だ。「きぼう」の取り付け作業にかかわったNASAの飛行士が2008年の来日時、「新車、それも高級車の匂いがした」と語っている。

 2000年に打ち上げられたロシア居住棟は使用年数が長く、その設計は1980~90年代に使われていた宇宙ステーション・ミールと同じ。一方、宇宙に到着したばかりの「きぼう」は新品で、ぴっかぴかのメカの匂いに満ちていたはずだ。その後、「きぼう」に日本人飛行士が暮らし始め、少しずつ生活感が出て匂いも変化しているかも。

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林 公代(はやし きみよ)
福井県生まれ。
日本宇宙少年団の情報誌編集長を経て、フリーライターに。著書に『宇宙の歩き方』、『宇宙においでよ!』(野口聡一氏と共著)など。

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