トップ > マガジン > 宇宙飛行士って面白い!


定期購読

日経ナショナル ジオグラフィック 翻訳講座 秋期受講生募集中 詳しくはこちら

記事ランキング

ナショジオクイズ

Q:次の生き物のうち、カブトガニに最も近いのはどれでしょう?

  • クモ
  • カニ
  • カメ

答えを見る



宇宙飛行士って面白い!

「宇宙船 冬の砂漠に……」。国際宇宙ステーション(ISS)から本誌に「野口聡一の宇宙で一句」を寄稿してくださっている野口聡一宇宙飛行士。野口さんたちは、ISSでどんな暮らしをしているのでしょう? 宇宙に飛び立つまでに、どんな苦労を重ねてきたのか。一口に宇宙飛行士と言っても十人十色。ラーメンの作り方も、それぞれ違います。「宇宙飛行士って、大変だけど、面白い!」。彼らの魅惑の日常を、宇宙飛行士を取材して20年以上になるライターの林公代さんに語ってもらいます。月2回連載。
> 著者プロフィール

【第5回】
青い地球は人を変える
2010年2月26日

 本誌3月号の「野口聡一の宇宙で一句」のテーマは「地球」だ。その句に詠まれた「手の中に地球」という表現を見て、「1回目の宇宙飛行の時と違う!」と感じた。

国際宇宙ステーションの展望室「キューポラ」で地球の写真を撮影する野口飛行士。(写真=NASA提供)

 2005年夏、野口聡一宇宙飛行士はスペースシャトルで宇宙飛行中、船外活動を行うためにシャトルの外に出た。そのときに出合った地球について帰国後、興奮気味に語ってくれた野口飛行士の言葉やいたずらっ子のような表情を、私は今もはっきり覚えている。

 「宇宙船のドアを開けたとたん、地球は圧倒的な存在感で迫ってきた。まるで手を伸ばすと届きそうな距離感で。とにかく圧倒されました」。“圧倒”という言葉を繰り返す。「景色として客観的に見ることなんてできない。人間がいる、命に満ちた天体だと確信しました」。その言葉に驚いた。野口さんってこんなことを言う人だったっけ……。

 私の反応を見て、野口さんはこう言った。「元々ぼくは理系人間で、天体としての地球を観察したいと思っていた。だけど実際は冷静に観察することはできなかった。地球に『畏怖の念』を感じてしまったんです」

 野口さんによると、宇宙船の中から窓越しに見る地球と、宇宙船の外に出て、同じ宇宙空間に浮かびながら「生物同士」として対等に向かい合って見る地球とは、全く異なるという。その言葉は私をゾクゾクさせた。

 地球と自分が同じ生物として「対等に」向き合うとは、想像を超えた感覚だ。ほとんどの人間は、自分が住んでいる地球を、外から見ることなんてできない。地球が丸いことも、自転していることも実感できないまま死んでいくというのに。

>> 次ページ 『日本はどこを見ても美しい』

林 公代(はやし きみよ)
福井県生まれ。
日本宇宙少年団の情報誌編集長を経て、フリーライターに。著書に『宇宙の歩き方』、『宇宙においでよ!』(野口聡一氏と共著)など。

年間購読のお申込はこちら

ナショナル ジオグラフィック バックナンバー