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特集

アフガニスタン
女たちの反逆

DECEMBER 2010


 女性の結婚相手となるのは、多くの場合、部族が無理やり決めた子供や老人である。

夫よ、すっかり白くなった髭を恥じたことはないのか?
私の髪をなでるあなたを、私は心のなかであざ笑う
 男の臆病ぶりをなじるランダイもある。

今日、わが愛する男は敵に背を向けた
昨夜、この男に口づけしたことを私は恥じる

 一方、満たされない欲望を訴えるものもある。

愛する人よ、早く私のもとに来て!
“小さな暴君”がまどろむ今なら口づけをしてもかまわない

 “小さな暴君”とは女性が無理やり結婚させられた男であり、妻に愛人がいるのも知らない男である。パシュトゥン人の女たちは、忍従を強いられながらも、心の底では常に反逆を夢見て、生きる喜びを求めてきたのだ。マジュルフがその著書を『自殺と歌』と名づけたのは、女性たちがその苦しみに異議を唱えるには、自殺するか、詩を口ずさむしかないからだ。当時、女性たちは毒を飲むか、水に身を投げて自殺した。現在の女性たちは毒を飲むか、焼身自殺で命を絶つ。

 アフガニスタンの議会は先頃、女性に対する虐待を禁じる法案を作成した。女性たちは今、古い因習に逆らい、公共の場や家庭内で自らの立場を主張し始めている。

 私は、カブールにあるサヘラ・シャリフというパシュトゥン人女性の自宅を訪ねた。彼女は、東部の町ホウストから選出された初の女性国会議員だ。ホウストでは、女性も選挙に出馬できることを誰も知らず、男たちは女性が仕事に就くことすら許さなかったと、彼女は語る。

 1996年にタリバンがカブールを制圧するまで続いた内戦を生き延びたシャリフは、想像を絶する残虐行為と大量の死者を目の当たりにした。「現在、アフガニスタンで暴力や虐待が横行しているのは、内戦で人々の頭が狂ってしまったからです」とシャリフは語る。

 2001年12月にタリバン政権が崩壊した後、シャリフはラジオ局を開設し、健康と衛生に関する基礎知識を女性たちの間に広めた。さらに、シャリフはホウストの大学で初めての女性教員となったばかりか、ブルカを脱いで、男子学生に心理学を教えた。学生たちはそんなシャリフの姿に戸惑ったそうだが、こうして彼女は学生たちの再教育に取り組んでいった。

 アフガニスタン各地で、私は何人もの若い女性と出会った。彼女たちはかつてのランダイの代わりに、詩や小説を書き、ドキュメンタリー作品や長編映画を作っている。それらの作品には、アフガニスタンの女性たちが自らの人生を語る、新しい物語がつづられている。

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