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シリーズ 地球と、
生きる
「魚を食べる」を考える

OCTOBER 2010


 私たちは海への悪影響を抑える方法をすでにいくつか知っている。世界の漁船の数を半分に減らすこと、禁漁の海域を広く設けること、野生の魚を養殖魚の餌にするのを制限すること……。残念なのは、水産業界が改革への道をしばしばふさいできたことだ。

 シーフード・プリントはまた、そうした障害を乗り越え、健康で豊かな海を取り戻す術も教えてくれる。現在、持続可能な魚の食べ方がいくつもキャンペーン展開されているが、どれも食物連鎖の下位の魚を食べることを提案している。養殖のサケより養殖のティラピアを買おう。ほぼ草食で、魚粉をあまり食べないから。はえ縄漁で捕ったマジェランアイナメ(メロ)より、わな漁で捕ったギンダラを選ぼう。混ざって捕られる魚が減るから。クロマグロを食べるのはやめよう。それらは数が減りすぎているから。

持続可能な水産を目指して

 悩ましいのは、海がある臨界点を超えてしまっていることだ。単に食生活を変えるだけでは、この先、魚の数を回復させることはできない。ポーリーら保護に取り組む学者たちは、提案を義務に変えていくべきと考えている。

 国ごとに魚介類消費量の上限を定めた条約が結ばれたなら、市民は自国の政府にその履行を迫ることができるだろう。同様の戦略は毛皮や象牙の取引において大きな成果を上げてきた。海の生態系も地上の生態系と同様に守られるべきだと、ポーリーらは言う。

 「陸地は現在、面積の12%が保護されていますが、海では1%にすぎません。しかも完全に保護されているのはそのうちのごく一部です」と、エンリック・サラは言う。だからこそナショナル ジオグラフィック協会は各国政府や企業、自然保護団体らと手を組み、海洋保護区の設立や、漁業による悪影響の削減に努めている。

 最後に付け加えるが、ポーリーやサラをはじめとするシーフード・プリントのメンバーたちは、漁業や養殖業を壊滅させたり、魚食を禁止したりすることを望んでいるわけではない。そのあり方を変えたいだけだ。今日の漁業や養殖業は持続不可能なものであり、現状で持続可能と主張する人々はその生態学的・経済的影響から目を背けている。

 各国が海に及ぼす影響を正確に計測することで、シーフード・プリントはあるべき改革のための基礎を築き、細りゆく海の資源を回復に導けるかもしれない。そうなれば各国政府は、さほど遠くない将来、真の豊かさを取り戻した海を公平に共有することができるはずだ。

 そう、破綻の後に残されたわずかな残骸を、どん欲に奪い合うのではなく。

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