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アメリカシロヅル

SEPTEMBER 2010

文=ジェニファー・S・ホーランド 写真=クラウス・ニガ

はカナダ、冬は米国テキサス州で過ごすアメリカシロヅル。世界で最も絶滅が危惧されるツルの、長年にわたる保護活動を追った。

 湿地と森林が広がるカナダの大地。ウッド・バッファロー国立公園の上空を、真っ赤な翼を広げた小型飛行機が急旋回しながら少しずつ高度を下げていく。

 操縦士のジム・ブレディは、機体を傾けると、2人の同乗者と一緒に顔を窓ガラスに押し当てて地上に目を凝らした。彼らが見つけようとしているのは、上空からは白い点としか見えない鳥の姿だ。親鳥の近くには、あずき色の羽根をした幼鳥もいる。原生の自然が残るこの公園では、世界に15種いるツルの中で最も絶滅が危惧されるアメリカシロヅルが夏を過ごす。野生としては、最後の群れだ。

 ブレディと米国魚類野生生物局のトム・スターン、それに、カナダ野生動物局のリー・クレイグ・ムーアはツルの個体数を調べていた。そして、3人は不安になった。群れの個体数は2008年の春には266羽だったが、次の春までに57羽が死んだ。そのうち23羽はテキサス州南部の越冬地で命を落とした。

 日照りが原因となって、ツルの主要な餌であるワタリガニとスイカズラ科の低木が被害を受けたのだ。残りの30羽余りは渡りの途中で死んだと思われる。送電線に衝突して命を落とすことも多い。渡り鳥にとって、命を奪う最も危険な障害物なのだ。

 アメリカシロヅルは、絶滅が心配される生物種の中でも注目される存在だ。その理由の一つは、人を魅了する強いカリスマ性にあるのかもしれない。背丈が1.5メートルほどと大きく、葦(あし)に隠れているオオカミや人間をすぐに見つけ出す。軽やかに飛びはね、力強く羽ばたいて求愛のダンスを踊り、くちばしを天に向けて甲高い叫び声を上げる。

 1967年、野生で唯一残っていたアメリカシロヅルの群れが、絶滅危惧種保存法に基づいて絶滅危惧種として登録され、保護対象となった。保護活動家たちは人工孵化(ふか)と飼育にも取り組んできた。結果、飼育下の個体を合わせて、現在では500羽を超すまでに増えている。

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