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バシロサウルスの後肢(写真は左肢)。長さは46センチメートルほどで、全長約15メートルにもおよぶ巨大な体を支えるには、あまりに小さすぎる脚だ。実際のところ、バシロサウルスは完全に水生だった。だが、この後肢の存在は、初期のクジラたちが陸を歩き、時に走っていたことを示す、劇的な証拠である。この小さな脚がどんな役割を果たしていたのかは、専門家の間でもはっきりしていない。古脊椎動物学者のフィリップ・ギングリッチは、「おそらく交尾の際に相手に刺激を与えたり、正しい位置に導くために使われていたのでは」と考えている。
Photograph by Richard Barnes