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特集

よみがえる
先住民の大地

AUGUST 2010


 現在、晴れ渡った朝にはマツやビャクシンの香りが一帯に満ち、峡谷の斜面には木々が緑豊かに生い茂っている。リオグランデ川沿いでは、外来種のニレやグミの木が駆除されて、30ヘクタールの湿地が復活した。野焼きが行われてきた一帯には、ポンデローサマツ、ベイマツ、コロラドトウヒなどの苗木170万本が植えられた。

 プエ・クリフの遺跡の下を流れるサンタクララ・クリークと支流のターキー・クリークが合流する辺りでは、かつてビーバーが築いたダムが、新しい植生に覆われている。この峡谷でビーバーを見かけなくなって15年になるが、川沿いの植生を復活させれば、再びビーバーがダムをつくるようになると、先住民たちは期待している。あちこちにできた池がやがて沈泥で埋まり、そこに草原ができるという自然のサイクルが再開するという。

 「自然を取り戻したいんです」。そう話すのは、再生活動の責任者、スタンリー・タフォヤだ。「かつての美しい峡谷の景観を孫たちにも愛でてほしいと、お年寄りたちは考えているのです」

 こうした自然保護の取り組みが成功している地域では、ギャンブルなどの事業による収益が活動を資金面で支えていることが多い。たとえばサンタクララ・プエブロ族は、カジノを備えたホテルやゴルフクラブ、映画館を所有し、経営している。

 先住民のなかには、祖先の土地には関心を示さず、ほかの米国人のように、大型のピックアップトラックを乗り回し、夜はDVDを見て過ごす人々もいる。だが、土地に根ざした先住民文化は、現代文明の登場よりもずっと昔から脈々と受け継がれてきた。先祖が神々と言葉を交わした土地を再発見できるという信念は、今も先住民の心のなかに存在し続けている。

セコイアの森を取り戻す

 サンフランシスコから北に320キロ、カリフォルニア州北部のロストコーストには、世界有数の高木セコイアの森が広がっている。太古の時代から生い茂ってきた巨木の原生林は、数十年前、徹底的に伐採された。今は以前の2%も残っていない。

 それでも、原生林は先住民に比べればまだ運がよかった。19世紀半ばに起きたゴールドラッシュ以降、先住民たちは迫害され、虐殺され、土地を製材会社に奪われてきた。

 現在、この地域の先住民は部族連合を組織し、ロストコースト沿いに広がる約1600ヘクタールの土地の管理と再生に取り組んでいる。複数の部族が合同で森林伐採を阻止し、自然を再生させる活動をいち早く始めたのだ。

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