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ニワシドリの求愛

JULY 2010


ドナルドのプロポーズ

 カンムリニワシドリの雄も同じように争うが、ドナルドの塔に匹敵する立派な塔をつくった雄は現れなかった。木の枝に舞い戻ると、ドナルドは以前より速いテンポでさえずり始めた。雌を見つけた証拠だ。だが辺りにいるほかの雄も、木のてっぺんにいるその雌を見つけ、気を引こうと一斉に鳴きだした。彼女は誰を選ぶのかしら? 私はドナルドの健闘を祈った。

 ドナルドは鳥やアマガエルなど、さまざまな生き物の鳴きまねを次々に披露してから、コケに覆われた地面に舞い降りた。あずまやの背後に身を潜め、そっと様子をうかがう。すると突然、手前にもう1羽のカンムリニワシドリが現れた。羽の色はドナルドと変わらないが、頭部はもう少し丸い。雌がやって来たのだ!

 ドナルドはついに雌をあずまやにおびき寄せた。次はこの場に引き留めなければならない。

 ドナルドと雌は一種のかくれんぼを始めた。ドナルドはそれまで隠していたとさかを逆立て、翼を高々とかざすと、急いであとずさりしてまた身を隠した。かと思うと、ぴょんぴょん跳ね、体を左右に揺すり、盛んにさえずる。2羽は塔の周りで押したり引いたりを繰り返し、ドナルドが迫ってくると、雌は脇によけて、燃えるような色をしたドナルドのとさかを見つめた。

 この雌がドナルドを気に入れば、2羽はコケの上で交尾をすることになる。ところが10分後、雌はコケを敷きつめた地面の縁まで移動すると、その場から飛び去ってしまった。

 ドナルドの求愛の何がまずかったのだろう?

 「たぶん、まずいことは何もなかったはずです」。ベンツは言った。「その雌はドナルドのあずまやを以前にも訪れたことがあるのでしょう。きっとまた戻ってきますよ」

 ドナルドは派手なとさかをしまうと、そそくさとあずまやづくりに没頭した。塔の周りを手入れし、ちぎれたコケや小枝を払いのけ、木の実を並べ替え、昆虫の山をさらに積み上げた。それから少し離れた所に行ってあずまやを眺め、これなら雌がやって来ると判断したようだった。やがてドナルドは木の枝に飛び移ると、再び「ラタタ、ラタタ」とさえずり始めた。

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