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ニワシドリの求愛

JULY 2010

文=バージニア・モレル 写真=ティム・レイマン

の葉や花で“舞台”を飾り、ダンスと歌を披露するニワシドリの雄。だが、理想の高い雌を振り向かせるのは、そう簡単なことではない。

 ドナルドが建てた“塔”は、森のなかでいちばん高い。

 ニューヨークの「トランプ・タワー」とまではいかないが、くちばし1本で築いた見事な塔だ。

 カンムリニワシドリのドナルドが暮らすのは、パプアニューギニアのアデルバート山脈にある薄暗い森。ドナルドはコケに覆われた地面に小枝を組み上げ、高さ1メートルほどのこの塔を築いた。地面には木の実や死んだ昆虫、クリーム色のキノコなどが敷きつめてある。塔にはチョウやガの幼虫の糞(ふん)が花輪のように飾りつけてあり、夜露を浴びて光っている。ドナルドは近くの木の枝にとまると、周りに聞こえるように「ラタタ、ラタタ」とさえずった。

 入念につくった塔、きらびやかな飾り、甲高いさえずり声。その目的はただ一つ、自分こそが交尾の相手にふさわしい最高の雄だと、雌に納得させることだ。ドナルドの見事な塔は、果たしてその目的を達せられるのだろうか?

 「これが最終試験になります」

 鳥類学者のブレット・ベンツはそう語った。トランプ・タワーを建てた米国の不動産王ドナルド・トランプにちなんで、このニワシドリを“ドナルド”と名づけたのはベンツである。

 「ついにドナルドはこの一帯で最大の塔を建てました。これで雌を獲得できるかどうか」

“美のセンス”でメスを誘う

 これまで見つかった20種のニワシドリのうち、17種が雌の気を引くために構造物をつくる。たいていは庭園にしつらえた“あずまや”のような形をしており、その地面は美しく飾りつけられている。ベンツはこの森で見つけた、すべてのカンムリニワシドリのあずまやを調べているので、ドナルドの塔が抜きん出て立派なものだと断言できる。さらにカンムリニワシドリたちの行動も、すべてビデオで隠し撮りしているので、ドナルドをはじめとする雄たちがどれほど丹精こめてあずまやをつくるかもよく知っている。

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