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新・人類進化の道

JULY 2010


420万年前 アナメンシス猿人

 徒歩の旅の2日目は、広大な荒れ地を南西に向かって歩いた。ここには、「中央アワシュ複合岩体(CAC)」と呼ばれる複雑な構造の地層群が分布している。このCACの中心部に、アルディが発見された地点、アラミスがある。

 ウォルディゲブリエルらの研究によれば、この一帯は、520万年前に玄武岩の溶岩流にのみ込まれたという。その後も火山活動は続き、長い年月をかけて、土砂や薄い火山灰の地層が溶岩を覆った。ケーキにたとえれば、スポンジ(土砂)とクリーム(火山灰)が何層にも交互に重なった状態だ。

 その後、地層の“ケーキ”がマグマの上昇や地殻変動で傾いたり分断されたりして、一帯の地層は入り組んだ構造となった。だが、火山灰が固まってできた凝灰(ぎょうかい)岩の層から年代を知ることができる。私たちは、CACの地層の上から下に向かって歩き、アルディが発掘された地点をめざした。

 斜面を下り始めたとき、ウォルディゲブリエルが足を止めて、ルバカ層と呼ばれる凝灰岩層をハンマーで削りとった(ミドルアワシュの凝灰岩層にはアファール語で動物の名前がつけられていて、ルバカは「ライオン」の意)。ルバカ層には放射年代測定に使える鉱物はないが、そのすぐ下の地層に年代を推定する手がかりがある。地球の磁極は過去に何度も南北が逆転しているが、418万年前に起きた磁極の逆転の跡がこの地層に残されているのだ。

 そのすぐ下の地層が、最初の目的地だ。1994年にあごの骨の化石が発見された場所である。この化石は、ケニアの大地溝帯で発見されたアウストラロピテクス・アナメンシス(アナメンシス猿人)の化石と非常によく似ていることがわかった。その後、あごの骨の発見場所から約10キロ離れたアサ・イシでも、同様の化石が見つかった。

 これらの化石はすべて、アファール猿人よりも年代が少し古く、より原始的な特徴をもつ。しかし、ケニアで見つかった脛骨(けいこつ)と、アサ・イシで出土した大腿骨から、アナメンシス猿人も二足歩行をしていたと考えられている。実際、アファール猿人とアナメンシス猿人はひと続きの進化系統にあり、後者の年代が古いという以外に、両者を明確に区別することはできない。

 アナメンシス猿人の化石が出た地層の下には、ミドルアワシュにおける人類の進化史が記録されていない層がある。CACの一部に火山湖ができた440万年から430万年前の粘土層で、魚の化石しか出土しない。だが、その下の地層には、貴重な宝物が眠っていた。

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