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特集

シリーズ
地球と、生きる
温暖化で変わる
グリーンランド
PART2
トゥルー カラーズ

JUNE 2010


 こうした氷床上の湖は、突然、それも一気に水がなくなることがある。これは、「ムーラン」と呼ばれる、氷床内部にできた管状の穴の底が抜け、水がのみ込まれるためだ。2006年には、4000万立方メートルを超す大量の水が84分間でのみ込まれたとの報告がある。そのスピードはナイアガラの滝よりも速かったという。

 キャンプの横にある湖からは1本の川が流れ出ていて、どこかのムーランまで延びているに違いない。撮影助手のルウィンターと私は、それを見つけようと出発した。ところが、500メートルも進まないうちに、水がたまった穴がいくつも姿を現し、行く手を邪魔された。最初はそれらをよけながら歩いていたが、やがて、穴と穴のわずかな隙間(すきま)を見つけて、跳ねるように進まなければならなくなった。

 そこで、私たちは別ルートを行くことにした。こちらは順調で、氷床を何キロも前進することができた。結局、ムーランを見つけることはできなかったものの、興味深い現象を観察できた。私たちが飛び越えた穴のことだ。行きしなには、それぞれの穴は離れていたが、帰りには、流れの速い小川で結ばれていた。わずか半日の間に、それだけ融解が進んだということだ。

 テデスコとスタイナーは湖底の様子を調べ、クリオコナイトが点々と付いていることを確認した。クリオコナイトは、元々、空気中の浮遊物が氷の上に堆積(たいせき)したものだ。その成分は、遠く中央アジアの砂漠から飛ばされてきた細かな鉱物であったり、火山からの噴出物であったり、煤(すす)であったりする。煤の粒子の中には、自然火災に由来するものもあれば、ディーゼルエンジンや石炭火力発電所などから排出される人為的なものもある。

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