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特集

シリーズ
地球と、生きる
温暖化で変わる
グリーンランド
PART1
緑の大地

JUNE 2010


 そんなグリーンランドで、現在、世界のほかの地域の2倍近い速さで温暖化が進んでいる。世界の真水の7%近くはグリーンランドを覆っている広大な氷床にあり、衛星観測でその氷床が毎年約200立方キロメートルも消失していることが分かってきた。グリーンランドの氷がすべて解けたら、海面は7メートル以上上昇し、世界中の海岸は水浸しになるだろう。

 しかしグリーンランドの人びとは、地球温暖化という環境の変化に大きな期待をしているのも事実だ。

 デンマーク領であるグリーンランドには自治政府こそあるものの、実体はデンマークに大きく依存していて、毎年6億2000万米ドル、住民1人当たりだと、1万1000ドルの援助を受けていることになる。しかし温暖化で氷床の融解が始まっていて、石油や天然ガス、鉱物といった豊富な天然資源が掘削しやすくなり、グリーンランドの人びとが切望するデンマークからの経済的、政治的独立が実現する可能性が出てきた。グリーンランド周辺海域には、北海全体のおよそ半分の石油資源が埋蔵されていると考えられる。またグリーンランドには農場が50カ所ほどあり、温暖化で気温が上昇すれば栽培期間が延びて食料の輸入依存度を減らすことができる。マスメディアは「グリーンランドが緑の地になる」と騒ぎたてるが、今グリーンランドの住民はそれが本当に実現するのかどうか、固唾(かたず)をのんで見守っているのだ。

 赤毛のエイリークが、バイキングと呼ばれる古代スカンディナビア人の一団を率いて、アイスランドからこの地に移ってきたのは紀元982年のこと。サーガと呼ばれる英雄伝説によると、財産を預けていた男といざこざになってその男を殺して追放刑になったエイリークは、カコトック近くのフィヨルドから上陸した。エイリークはこの地をグリーンランドと名づけ、アイスランドに戻って宣伝して回った。「良い名前をつければ人びとが興味を持つだろう」という思惑だった。

 とんでもない誇張だが、それでも4000人ほどの古代スカンディナビア人がグリーンランドに入植した。蛮行で知られるバイキングは基本的には農民であり、グリーンランド南部や西部のフィヨルドの奥まったところでヒツジなどの家畜を飼うようになった。そうした営みは、今日でもほとんど変わっていない。彼らは教会を建設し、農地を開拓し、アザラシの毛皮やセイウチの牙を売って、ヨーロッパから木材や鉄を買った。エイリークの息子レイブは、カコトックの北東約55キロで農場を営んでいたが、探検の旅に出て紀元1000年ころに北アメリカ大陸を発見している。グリーンランドでは古代スカンディナビア人の集落が栄えていたが、4世紀以上たった後、突然姿を消す。

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