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ナスカ 文明崩壊の謎

MARCH 2010


 一方、地上絵の北にあるパルパ近郊では、1997年以降、ペルーとドイツの合同調査隊が大規模な考古学調査を進めてきた。イスラとドイツ考古学研究所のマルクス・ラインデルが指揮するこのナスカ-パルパ調査プロジェクトは、各分野の専門家が多面的にこの地方の古代文化の研究に取り組んでいる。

 私たちが乗った飛行機が再び旋回すると、イスラは顔を窓にじっと押し付けた。「トラペソイデ(不等辺四角形)だ!」眼下に広がる広大な幾何学模様が描かれた土地を何度も指さした。「あれが祭壇です。祭壇ですよ!」

 四角形の一角に積み上げられた、小さな石塚をイスラは指さしていた。イスラや彼の同僚たちの説が正しいとすれば、この目立たない建造物が、ナスカの地上絵の描かれた本当の目的を解き明かすカギを握っている可能性がある。そのカギとは水だ。

 ペルー南部とチリ北部の沿岸部は、地球上でも有数の乾燥した土地だ。ナスカ文化が発祥した、山々に囲まれた狭い土地には、東のアンデス山脈から10本もの川が注いでいるが、その大半は、1年のうちの一時期、水がなくなり涸(か)れ川になる。濃淡さまざまな茶色に彩られた大地のなか、岸辺に緑の草木を茂らせて細々と流れるこれらの川が潤した土地に、太古の文明は生まれた。

 「ここは人間が定住するにはうってつけの土地です。水があるからです」。ナスカ-パルパ調査プロジェクトに参加している地理学者、ベルンハルト・アイテルはそう語る。「ただこの土地の環境は、きわめて不安定なのです」

乾いた大地に栄えたナスカ文明

 アイテルと、独ハイデルベルク大学の彼の同僚、ベルティル・メフトルによると、ナスカ地方の気候は過去5000年間に大きく変動してきたという。南米の中央部を覆う高気圧が北へ移動すると、アンデス山脈の西側斜面では降水量が増える。高気圧が南に移動すると、ナスカの谷あいを流れる河川は干上がる。

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