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地球と、生きる
オオカミとの戦い

MARCH 2010

文=ダグラス・H・チャドウィック

護政策が功を奏し、米国西部でオオカミの生息数が回復してきた。一方で、家畜が襲われる被害が相次ぎ、住民の怒りは高まっている。


 オオカミと人間は共通点が多い。力強く、攻撃的で、狩りをする。ともに縄張り意識も強い。

 賢くて好奇心旺盛、チームワークを大事にし、適応力に優れ、環境に大きな影響を及ぼす。このように共通点は多いが、人間がオオカミに頭を悩ませていることは疑いの余地がない。それは、野生のオオカミと愛らしく従順なイヌの違いを人間がわかっていないからかもしれない。

 タイリクオオカミは北半球において、人間と家畜に次いで広く分布している大型哺乳(ほにゅう)動物だ。そのため人間とオオカミは長年、縄張りや獲物をめぐって戦いを繰り広げてきた。このこともまた、オオカミとの衝突が耐えない原因だろう。現在、その“戦場”は、ロッキー山脈北部のいくつかの州に及んでいる。

 オオカミは射殺されたり、罠にかかったり、毒入りの餌を食べるなどして、1930年代には米国西部から姿を消した。74年にはアラスカ州とハワイ州を除く米国本土で絶滅危惧種に指定され、ミネソタ州北部の奥地と、ミシガン州のアイルロイヤル国立公園にわずかに生息するだけとなり、戦いは終わったと思われた。

 ところが1980年代半ば、小さな群れがカナダから大陸分水嶺(ぶんすいれい)に沿って南下してくる。そのうち2頭はモンタナ州北部のグレイシャー国立公園に定着し、1986年に5頭の子供を生んだ。大きくなった群れは、グレイシャーにとどまったまま二つ、三つと分裂。なかには群れを離れて近隣の国有林まで広がるものもいた。

 そしてある時、グレイシャーから南西に約150キロ、アイダホ州との州境まで50キロほどの牧場に、1組のつがいが巣を作った。アイダホ州やワイオミング州北部でオオカミを見かけたという報告が集まり始めたが、ただの通りすがりか、それとも定着しているのかは不明だった。

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