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チンパンジーの好奇心

FEBRUARY 2010


 二人はチンパンジーとの遭遇に畏敬の念を抱いたが、やがて、「この観察はいつ終わるのか」と思い始めたという。周囲は暗くなっていく。チンパンジーたちはどこにねぐらを作るつもりなのか。「案の定、彼らは私たちのテントの真上にねぐらを作りました」と、モーガンは言う。「私は『すごいぞ! 』と言いましたが、現地のガイドたちは『とんでもない! 最悪だ』と言って頭を抱えました」。チンパンジーの群れは一晩中、叫び続け、枝をゆすり、テントに尿や便をかけ、小枝を人間に投げつけた。

 グアルゴの好奇心旺盛なチンパンジーが本誌で初めて紹介されたのは1995年。その記事では、人間との不幸な出会いを経験していないだけでなく、人間の存在自体を知らないとされたが、当時はこの報告を一笑に付す霊長類学者も少なくなかった。「人々の反応は、『好奇心? どう定義するのか』というものでした」と、米ワシントン大学の教授を務めるサンズ(34歳)は振り返る。「デイブから初めて話を聞いた時は、私も信じられませんでした」。アフリカ中部のジャングルには、探検家の後を付けまわし、人間を見るのは初めてであるかのように振る舞う霊長類がいるという逸話が以前からささやかれていた。しかし、森全体のチンパンジーがそうだという説は信じ難いものだったのだ。

人間を知らないチンパンジー

 だが、グアルゴ三角地帯を含む広大なヌアバレ・ンドキ国立公園は人里から遠く離れており、人間の立ち入りがきわめて困難な場所だ。そのため、この地域のチンパンジーはこれまで人間との接触がほとんどなかった。最も近い集落はボマサという人口400人ほどの村だが、それでも50キロ離れている。このエリアには密猟者も伐採業者も、森を通り抜ける旅人もいない。

 コンゴ共和国の国立公園2カ所を同国政府と共同管理するWCSは、グアルゴ三角地帯を「保護区の中の保護区」として、研究目的も含めて、完全に立入禁止にする考えだった。だが、1997年の内戦中に状況が変わった。近隣のカボ地区の伐採権を持つコンゴ林業(CIB)という会社が、ンドキ川とグアルゴ川の合流地点から数キロ南に材木運搬用の船着場を建設したのだ。「私たちは木材会社に後れを取るわけにはいきませんでした」と、モーガンは言う。1999年、彼はコンゴ人の助手一人を連れてグアルゴの森を徒歩で踏破し、大型霊長類の研究施設を開設した。その後、2001年にグアルゴを訪れたサンズがそのままとどまり、公私ともにモーガンのパートナーになる。深い森のただ中で、二人は研究に励んだ。

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