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特集

ハッザ族
太古の暮らしを守る

DECEMBER 2009


目印の木で待ち合わせ

 タンザニア北部のエヤシ湖周辺にあるハッザ族のキャンプ(野営地)に入るだけでも、ひと苦労だった。彼らは年や月日、週といった時間の流れとは関係なく暮らし、時刻の概念ももっていない。そんな彼らと待ち合わせの約束をするのは、とても難しい。

 そのことは承知のうえで、キャンプに滞在できるよう手配してくれないかと、観光業に携わる男に仲介を頼んでみた。この男が奥地でのツアー中にオンワスに出会い、外国人の客を受け入れてほしいと交渉してくれた。

 ハッザの人たちは、総じて人なつっこい。オンワスは二つ返事で承諾した。自分のキャンプに外国人が滞在するのは初めてだという。灌木地帯の端にある目印の木に、私の到着予定である3週間後に息子を迎えにやると、オンワスは約束した。

 3週間後、通訳のマリアムとともに四輪駆動車で待ち合わせ場所の木に到着すると、約束通りオンワスの息子のンガオラが待っていた。どうやらオンワスは月の満ち欠けで日数を計算し、息子を差し向けたらしい。「長く待った?」とンガオラに聞いた。「いや、たった2、3日だよ」

 オンワスのキャンプには、赤ん坊から高齢者まで、20人余りが暮らす。最初はみんな、よそ者が入ったことで居心地が悪そうだった。私をじろじろ見る者もいれば、目が合うと照れ笑いを浮かべる者もいた。私はアルバムを持参してきていたので、打ち解けるきっかけになればと思い、写真を見せた。

 一同の興味を引いたのは、寒中水泳の写真だ。凍った湖に開けた穴に、私が飛び込んでいる姿が写っている。ヒョウやキリンを追って灌木地帯を駆けめぐる勇敢なオンワスが、この冬の光景を見て恐れおののいた。彼はキャンプの仲間にその写真を見せながら、私のことを「勇ましい男」だと言って回った。凍った湖に飛び込める男は、野生のヒヒを見てもまず大丈夫だ―オンワスはそう思ったに違いない。こうして、滞在3日目の晩、私はヒヒ狩りに誘われることになった。

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