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特集

花粉が運ぶ愛

DECEMBER 2009


 花粉が目指すのは、同種の植物の「胚珠(はいしゅ)(将来の種子)」である。むき出しの胚珠に到達した花粉は、1本の管を伸ばして、内部の卵細胞に精子を送り込もうとする。弱い花粉や古い花粉、健康であっても異種の植物に着地してしまった花粉は、その管を形成することはない。しかし首尾よく管が形成されれば、二つの精子のうちの一つがそこを通りぬけ、卵細胞を受精させる。それにより種子が育つのである。

 1億年以上の間、植物はこうして命をつないできた。しかし、風に運ばれた花粉がたまたま胚珠に到達するのを待つというやり方に、再び転機が訪れる。花びらを広げ、種子を果実で守る植物、被子植物が現れたのだ。

 被子植物は、従来の植物以上に繁栄した。理由は、胚珠が子房に守られていたこと、そして花びらに引き寄せられた動物たちが、その羽や皮膚、体毛に花粉を付けて運ぶようになったことだった。動物たちは風よりも着実に花から花へと花粉を運ぶため、魅惑的な花びらを持つ植物ほど繁栄した。花々は多彩な色や蜜を獲得し、多くの動物たちを集めた。

 花粉や花の登場によって、距離が生殖を妨げなくなると、植物は爆発的な多様化を遂げた。赤茶けた大地は緑で覆われ、さらには赤、黄、白、オレンジなど、あらゆる色に染まった。

 花粉もまた多様化した。地球上には花粉を持つ植物が30万種ほど存在するが、花粉の形態も30万通りだ。それぞれ特徴に応じて、色や形や質感の違う様々な花粉が進化した。

 たとえば甲虫に受粉を媒介してもらう植物は、その鈍感な背に張りつきやすい平たくて粘つく花粉を持つことが多い。ハチやハエに媒介してもらうなら、体毛に絡みやすいトゲだらけの花粉、コウモリのような大型の動物には大型の花粉といった具合だ。ただし、花粉の多様性については解明されていない部分が多く、すべてがそんなふうに説明が付くわけではない。

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