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特集

シリーズ 地球のいのち
ワニ 幻の支配者

NOVEMBER 2009


地球を支配していたワニ

 ワニは恐竜時代からの生き残りだとよく言われる。ある意味で、それは正しい。確かに、現存するワニ類は8000万年ほど前に地球上に出現し、その後、現在まで生き延びてきた。しかし、かつて地球を闊歩(かっぽ)し、支配者として君臨していた同系統の仲間から見れば、ほんの一部でしかないのだ。

 2億4000万年ほど前、ワニの祖先に当たるクルロタルシ類が出現した。恐竜と同じ時代だ。同類は三畳紀に多様な姿に変化し、さまざまな陸上動物を生む。細身で脚の長いものもいれば、食物連鎖の頂点に君臨する巨大で恐ろしい捕食者もいた。エフィギアと呼ばれる動物は二足歩行をし、植物食だったようだ。

 この時期、クルロタルシ類は陸上で圧倒的な支配力を誇っていて、恐竜が生存できる場所は限られていた。しかし、約2億年前の三畳紀末に謎の天変地異が起き、同類のほとんどが姿を消すこととなる。競争相手がいなくなると、恐竜が陸上を席巻した。時を同じくして、海では泳ぎが得意な首長竜などの巨大な捕食動物が出現したため、ほかの動物が進化する余地はほとんどなくなってしまった。生き延びたワニは姿を多様に変え、最終的には、川や沼沢地などの湿地帯に生息することとなった。

 生存できる場所が限られていたため、ワニは進化の可能性を制限されたかもしれないが、そのおかげで命拾いしたとも考えられる。白亜紀末の約6500万年前、小惑星が地球に衝突して大量絶滅が起きた。このとき、恐竜をはじめ、陸海を問わず広範囲の生物が壊滅的な打撃を受けた(ただし、恐竜から進化したと考えられる鳥類は除く)。多くの生物種が絶滅するなかでワニは生き延びた。決定的な理由は分からないが、淡水域を生息地としていたことが一つの理由と考えられる。淡水域に生息する生物の方が、海水位の低下によって大きな打撃を受けた海水生物に比べて、大量絶滅を免れた種が多かったのだ。多様な食べ物を餌とする食性や、食べなくても長い間生きられるという変温動物の特徴が幸いしたかもしれない。

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