/2009年10月号

トップ > マガジン > 2009年10月号 > 特集:巨木の森と生きる


定期購読

ナショジオクイズ

クラゲにあるものは次のうちどれ?

答えを見る

ナショジオとつながる

週2回
配信

メールマガジン無料登録

メルマガ登録の詳細はこちら



特集

巨木の森と生きる

OCTOBER 2009

文=ジョエル・K・ボーン Jr. 写真=マイケル・ニコルズ

高100メートルを超える世界一高い木、セコイア。その森が広がる米国西海岸3000キロを縦走し、林業と森林保護の未来を考える。

セコイアの巨木
セコイアの巨木を樹冠から根元まで写した写真について、どのように撮影したのかを写真家マイケル・ニコルズが解説する。

動画翻訳

マイケル・ニコルズはカリフォルニアでセコイアの木全体を撮影する史上初の試みに挑んだ

マイケル・ニコルズナショナルジオグラフィック写真家
木をうまく撮影するのは非常に困難ですだからこそ今回の写真に挑戦しました
セコイアの木のすべてを見せる写真を撮り
人々がその写真から何かを感じてくれればと願っています

90枚の写真を組み合わせて木を作りあげていきます
最初にすべてがうまく機能するよう準備を整えておかなくてはなりません
カメラ移動車とカメラを用意します
傷つきやすい機材を夜間野外に放置できませんからね
必要なものをすべて設置し念入りにチェックします
3台のカメラは全部ちゃんと動くか?ファイルの名前は合っているか?
私はコンピューター経由でのカメラの操作に問題がないか確認します
カメラを木の一番上まで動かし
適切な場所にセットします

この木の樹冠は幅が30メートルもあるため
木から15メートルほど離れた場所にカメラを設置することになります
スティーブ・シレット科学者
おそらく一番の難題は
木の中心部をうまく撮影することだと思います
不可能かもしれませんがやってみます

この部分を見てくれいいね

高さ91.5メートル 樹齢1500年以上84枚の写真を組み合わせた
私たちが作り上げたこの写真は
ただの木をはるかに超えた何かを表す写真になるような気がします
この危機的な時代における私たちと地球との関係に
何かつながりがあるのではないかと感じるのです
この木は1600年もの間そびえ立っています
その間どれだけの数の人間が生まれては死んでいったことでしょう?

 木を切るべきか、切らざるべきか――。そんな論争を越えた、新たな森づくりとはどんなものか。未来の森の姿を求めて2900キロの道のりを歩き始めた男がいる。

 彼の名は、J・マイケル・フェイ。今から10年ほど前、アフリカに残された手つかずの森林地帯3200キロを徒歩で横断する「アフリカ徒歩横断」を敢行した人物だ。その模様は本誌2000年10月号、2001年3月号、同年8月号でお伝えしたから、覚えている読者もいるかもしれない。

 米国の環境保護団体「野生生物保護協会」の自然保護活動家で、ナショナル ジオグラフィックの協会付き研究者でもあるフェイは、30年間アフリカの森林保全に尽力してきた。50歳をゆうに超えた今、彼が何よりも大きな関心を抱いているのが、米国西海岸にだけ生育するスギ科の木、セコイアだ。レッドウッドとも呼ばれ、樹高100メートル以上にもなる世界有数の巨樹である。

 フェイがこの木に興味をもったのは、アフリカ徒歩横断を終えて何年か後のことだ。カリフォルニア州の州立公園を訪れたとき、彼は輪切りにして展示されていたセコイアの幹に目を留めた。直径1.8メートルの輪切りは垂直に立ててあり、年輪に西暦と出来事を記したラベルが張ってある。中心部の近くには、「1492年 コロンブスの新大陸到達」とあった。

 「端から8センチくらいの場所には、『1849年 ゴールドラッシュ』と書かれていた」とフェイは話す。「それを見て気づいたんだ。われわれは年輪の最後の数センチに当たるわずかな歳月の間に、2000年もの歴史をもつ森林を壊滅寸前まで追いやってしまったのだとね」

 世界屈指の巨木がそびえる西海岸の森。その破壊の歴史と森林利用の現状を自分の目で確かめようと、フェイは2007年秋に全長2900キロの徒歩縦断を敢行することにした。カリフォルニア州中部の海岸地帯ビッグサーから、世界遺産のレッドウッド国立公園を経て、オレゴン州との州境を越える辺りまで、セコイアの森が残る山々を歩く。そのなかで、木材生産をできる限り確保しながら、森林が生態系や地域社会にもたらす恩恵を最大限に生かす方法がないか、じっくり探ってみようと考えたのだ。

 セコイアの森でそれが可能なら、短期的な利益のために伐採されている世界のあらゆる森林も、その方法で保全できるはずだ。フェイは、アフリカ徒歩横断のときと同様、11カ月に及ぶ踏査の期間中、写真を撮り、記録を残し、森林や渓流、そこにすむ生き物の現状について、詳細なデータをとった。

1Next

年間購読のお申込はこちら

ナショナル ジオグラフィック バックナンバー