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太陽エネルギー発電

SEPTEMBER 2009

文=ジョージ・ジョンソン 写真=マイケル・メルフォード

大なエネルギーを秘めた太陽光。その恵みを最大限に享受しようと、人類はあくなき探求を続けてきた。太陽光発電の最前線に迫る。

 透きとおった空に、ピンク色を帯びた太陽が涼しげな輝きを放つ。米国南西部のモハーベ砂漠に朝が訪れた。不夜城のように明るいラスベガスの町に満月が沈んでいく。

 太陽熱発電所「ネバダ・ソーラー・ワン」が間もなく動き始めようとしていた。100ヘクタールの敷地に並べられた曲面鏡が、まるで光の運河のようにいくつもの長い列をなしている。これはトラフ式太陽熱発電という方式で、「トラフ」とは細長い溝を意味する。鏡の枚数は全部で18万2000枚以上。夜間は下を向いていた鏡が、上を向いて太陽を追いかけようとしている。

 「今日はまずまずの晴天になりそうです」と、制御室のオペレーターが言った。発電の仕組みはこうだ。まず太陽光を曲面鏡に反射させ、その上に延びる鋼鉄の集光パイプに集める。パイプ内を流れるオイルは最高400℃にまで加熱され、巨大なラジエーター(放熱器)に送られる。そこでオイルの熱を使って蒸気をつくりだし、タービンと発電機を動かす。

 この発電所が供給する電力は最大64メガワット(1メガワット=100万ワット)。一般家庭なら1万4000戸、ラスベガスのカジノでも数カ所をまかなえるほどだ。「蒸気をつくった後の工程は、通常の発電所と同じです」。施設責任者のロバート・ケーブルはそう言うと、通りの向こうにあるガス火力発電所を指さした。

 ネバダ・ソーラー・ワンが操業を開始したのは2007年。それまで米国では17年以上も、太陽エネルギーを使う大型の発電所が建設されなかった。米国はその間に、この分野でほかの国々に後れをとってしまった。この発電所も、所有するのはスペインの大手建設会社アクシオナ社、使用している鏡はドイツ製だ。

 ケーブルと私はヘルメットとサングラスを身につけ、小型トラックで鏡の列の横をゆっくりと進んだ。放水車に乗った男たちが、鏡に水をかけて掃除している。「ほこりがつくと鏡に影響がでますから」と、ケーブルは説明する。鏡の上に延びているのはオイルを流すパイプだ。光をよく吸収できるように表面は黒いセラミックで覆われ、断熱効果を高めるため真空のガラス管の中に収められている。

 夏の晴れた日の、太陽が真上に来る時間帯なら、ネバダ・ソーラー・ワンは太陽光の約21%を電力に変換できる。ガス火力発電所に比べれば効率は低いが、太陽光は“無料”だし、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を排出しない。

 およそ30秒おきに、モーターが鏡の向きを調整するブーンという音が聞こえる。正午までに鏡は完全に真上を向く。午前8時、パイプ内のオイルが発電可能な温度に達し、さらに30分後、発電所のタービンがうなりを上げた。電力供給の準備が整った。

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