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太陽エネルギー発電

SEPTEMBER 2009


 米国のオバマ政権は、地球温暖化問題に正面から立ち向かい、輸入石油への依存度を減らすと公約している。風力やバイオ燃料も代替エネルギーの有力候補だが、太陽の光ほど豊富にあるエネルギーはほかにない。

 私は昨年秋、ドイツ南西部のフライブルクにあるフラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所のアイケ・ウェーバー所長からこんな話を聞いた。「地熱発電や風力発電など、ほかの再生可能エネルギーはどれも量的な限界があります。地球上の全人類が必要とする総電力は、およそ16テラワット(1テラワット=1兆ワット)。2020年には、20テラワットに増えるとみられています。一方、地球の陸地に降り注ぐ太陽光は12万テラワット。つまり、太陽エネルギーはほとんど無尽蔵にあると言えるのです」

太陽エネルギーを利用する発電方式は大きく二つある。まず、太陽光を熱に変えて発電する太陽熱発電。これにはネバダ・ソーラー・ワンのような「トラフ式」のほかに「タワー式」と呼ばれる方法がある。タワー式は、地上に並べたヘリオスタットという名の平面鏡で、太陽光を巨大なタワーの頂上に集める仕組み。鏡はコンピューター制御で動かし、太陽の向きを追いかける。

 もう一つの方式は太陽光発電。シリコンなどの半導体でつくった太陽電池パネルを使い、太陽の光を電力に直接変換する。

 どちらの方式にも、それぞれ優れた点がある。たとえば太陽熱発電は、今のところ太陽光発電よりもエネルギーの変換効率が高い。ただし電力を市場に届けるためには、広い土地と長い送電網が必要だ。これに対して太陽光発電は、電力を必要とする場所の屋根に太陽電池パネルを設置すれば済む。

 また、二つの方式には共通の弱点がある。曇りの日は発電量が減り、夜間にはゼロになることだ。そのため、昼間につくった電力を蓄えておくエネルギー貯蔵システムの開発が進められている。

 米国でのソーラー・ブームは、30年前のジミー・カーター政権の時代にもあった。1973年、アラブ諸国が実施した石油輸出禁止措置をきっかけに第1次オイルショックが世界を襲い、米国は国家的な危機を迎える。カーター大統領は太陽エネルギーを重視した新しいエネルギー政策を提唱した。1979年にイラン革命が起こり、原油価格が再び急騰。カーター大統領は自らの政策を実践するかたちで、ホワイトハウスの屋根に太陽熱温水器を設置した。

 その後、80年代半ばに大型トラフ式太陽熱発電所、「SEGS Ⅰ」と「SEGS Ⅱ」がラスベガスの南西260キロの場所に誕生すると、たて続けに同タイプのSEGS発電所7基が近くにつくられた。

 これら9カ所のSEGS発電所では、現在も約100万枚の鏡が合計354メガワットの電力を生みだす能力をもつ。ところが、米国経済が第2次オイルショックを乗り越えると、原油価格が下落。資源問題に対する切迫感が薄れるとともに「第1次ソーラー革命」は失速し、太陽熱温水器はホワイトハウスの屋根から取り外された。

 コロラド州ゴールデンにある米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)は、カーター時代のもう一つの“遺産”だ。一時は政府から厄介者扱いされたNRELだが、今はオバマ政権が打ちだした再生可能エネルギー支援策のおかげで予算が増えている。

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