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超巨大火山
イエローストーン

AUGUST 2009


 イエローストーンの地下には、大量のマグマが継続的に供給される“ホットスポット”があり、過去1800万年ほどの間に噴火を繰り返し、その度にカルデラを形成してきた。ホットスポットの上にある北米プレートが南西方向へ移動しているため、太古の噴火の痕跡がいくつも連なっているのだ。

 過去3回の超巨大噴火は、現在の国立公園内で起きた。最も新しい噴火は64万年前に発生し、その規模は、1980年に57人の犠牲者を出した、ワシントン州セント・ヘレンズ山の噴火の1000倍に相当する。研究者たちの推計によると、火山灰は上空約3万メートルにまで達し、噴出物は西部一帯を覆い、南はメキシコ湾にまで達したという。また、800℃に達した灼熱の火砕流が渓谷一帯を席巻し、比重の重い、高温の噴出物が数百メートルの厚さで堆積(たいせき)した。緑豊かな谷が、一瞬にして、アスファルトのようなもので覆われたのだ。

 しかし、イエローストーンでは、さらに規模の大きな噴火が発生している。210万年前に起きた噴火の規模は、64万年前の2倍を超え、地表には広さ4000平方キロもの巨大な穴が開いた。これら2回に比べると、小規模だが、それでもなお壊滅的な被害をもたらした噴火が、130万年前にも発生している。

 超巨大噴火のたびに、影響は地球全体に及んだはずだ。噴出したガスは成層圏にまで達し、水蒸気と混ざり硫酸塩エアロゾルの薄い層が形成され、太陽光をさえぎっただろう。このため地球では、「噴火の冬」と呼ばれる気温の低い期間が数年も続いた可能性がある。

 驚異的な破壊力の割に、超巨大噴火が残した痕跡はあまり目立たない。イエローストーンのカルデラは浸食が進み、後に発生した小規模な噴火(最近では7万年前に起きた)の際に流れ出た溶岩や火山灰が溜まり、氷河によって表面が削られて平らになっている。そして、森が噴火の痕跡を覆い隠しているのだ。そのため、ドーン少尉のような鋭い観察眼をもっているか、地質学者に教えてもらわない限り、噴火の跡を見つけることは不可能と言えよう。

 「ここから見えるカルデラは、全体の3分の2にすぎません。あまりに巨大なので、全体を見渡せないのです」と、イエローストーンの超巨大火山を研究する地質学者、ボブ・スミスは語る。私たちはイエローストーン湖東端にそびえる丘、レイク・ビュートの上にいた。そこからはカルデラが見渡せるということだったが、私には見えなかった。その大半は湖底に水没しているし、直径が約72キロと巨大なためだ。

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