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特集

ニュージーランド
トンガリロ国立公園

JULY 2009


 トンガリロ国立公園は、当初その景観美によって世界自然遺産に登録され、その後、その文化的重要性を認められて世界文化遺産にも登録された。それは、マオリの人々がここをタープーとしてあがめているからである。先住民にとって、この山岳地帯は聖地なのだ。

 トンガリロ・アルパイン・クロッシングと呼ばれる全長19キロの登山道は、溶岩の崖やかつて氷河が積み上げた堆石の斜面を登って、ナウラホイ山のふもとまで続いている。ふもとから先は、小石だらけの山道を登る気さえあれば、数時間でトンガリロ山の山頂まで登れるルートもある。地獄の門のように蒸気を噴き出しているレッド・クレーターは、その火口が酸化鉄の赤茶けた色合いを帯びていることからこの名前がついた。火口の周囲には黒い溶岩が広がり、19世紀後半、このクレーターが何度も噴火を繰り返したことを物語る。

 ルアペフ山の南西側の斜面には、そこだけ周囲とは種類の違う太古の森が残っている。紀元186年に公園の北側にある巨大なタウポ火山が噴火を起こしたとき、周囲数キロの森はすべてなぎ倒されたが、この森だけはルアペフ山の大きな山塊が盾になって無事だったのだ。うねうねと続く山道を歩くと、頭上にはリムノキ、マタイ、マキなどの高木がそびえ、地面近くでは木生シダ類がレース織りのような葉を広げ、フラダンスの踊り手のように身をくねらせたクノニア科のカマヒが自生している。

 美しい景観を見せてくれるトンガリロ国立公園の背後には、自然保護や文化政策上の難問もつきまとう。ニュージーランドではどこもそうだが、この国立公園の生態系も外来種の侵入で深刻な被害を受けてきた。外来種の生物には、初期のマオリの人々が持ち込んだネズミをはじめ、ウサギやイタチ、フクロギツネのほか、ヨーロッパ人が持ち込んだネコなどがいる。数百万年も捕食者に脅かされずに進化を遂げた固有種の野鳥は、こうした外来種に食い荒らされ、現在ではごくわずかが生き残るだけだ。

 独特の姿をした飛べない鳥キウイは、ニュージーランドのシンボルとして親しまれているが、野生のキウイは、卵やヒナがイタチに食い荒らされ、絶滅寸前まで追い詰められた。

 外来種の植物も公園管理者の悩みの種だ。かつて公園管理官の一人が、猟の獲物にするライチョウと、そのライチョウが餌にするツツジ科のカルーナを一緒に英国から持ち込んだ。ライチョウは死に絶えたが、薄紫の花をつけるカルーナは猛烈な勢いで繁茂し、固有種の野生植物から生息地を奪った。北米からはマツの仲間ロッジポールパインが木材向きの樹木として持ち込まれた。種子が風に乗って運ばれるロッジポールパインは、農耕地のはるか先でも自生して駆除がきわめて難しい。

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