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特集

ニュージーランド
トンガリロ国立公園

JULY 2009

文=メル・ホワイト 写真=スチュアート・フランクリン

画『ロード・オブ・ザ・リング』のロケ地として知られているトンガリロ国立公園。火山と雪が織りなす“異界の地”をめぐる。

 風光明媚で知られるニュージーランドでも、特に美しいトンガリロ国立公園には雄大な三つの山がそびえ立っている。この絶景を目にすると「美とは何か」と問いかけたくなる。

 公園の南側には、ニュージーランド北島の最高峰である標高2797メートルのルアペフ山がそびえる。25万年前、火山活動によって生まれ、今も活動を続ける活火山だ。数年ごとに噴火し、蒸気と火山灰の巨大な柱を噴き上げる。公園の北側にある、もっと古い時代に生まれたトンガリロ山は、太古のクレーターがいくつも集まっていて、あちこちの噴気孔から硫黄の臭う蒸気が噴き出し、不気味な雰囲気が漂う。

 この二つの山のあいだにそびえるのがナウラホイ山だ。映画『ロード・オブ・ザ・リング』で「滅びの山」として登場する山で、ルアペフ山やトンガリロ山ほど巨大ではないが、均整のとれたみごとな山容は見る者をとりこにする。

 この荒々しい地形の土地に、なぜこれほど優美な山が生まれたのか、つくづく不思議になる。この山が誕生したのはわずか2000年ほど前だ。氷河期に氷河がルアペフ山とトンガリロ山を浸食したあとに、ナウラホイ山は生まれた。ナウラホイ山の山肌には雨による浸食や噴火の痕跡がまだない。山も人間と同じで、若い山ほどみずみずしい美しさをふりまいている。

先住民が畏敬の念を抱いた山

 ニュージーランドの先住民マオリは、この三つの山に畏怖の念を抱き、この山々にこそ「タープー」が宿っていると考えた。タープーには「聖なるもの」から「荘厳なるもの」まで、さまざまな意味がある。19世紀後半、ヨーロッパ人が北島の中央部に入植し、土地を都会と農地に分割するようになると、マオリの人々は三つの山の神聖さが損なわれることを恐れた。そこでマオリの長老ホロヌク(別名テ・ヘウヘウ・ツキノ4世)は、自分が預かっていた山々のタープーを、英連邦をつかさどるビクトリア女王に譲り、1887年、三つの山々とその周辺の土地を保護区としてニュージーランド政府と国民に託したのだ。こうしてこの土地はニュージーランド最初の国立公園になり、やがて現在の7万8618ヘクタールの保護区へと拡大した。

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