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望遠鏡 新たな時代へ

JULY 2009


 たとえば、17世紀ポーランドの天文学者ヨハネス・ヘベリウスが、バルト海に面したグダニスクの観測所に設置した望遠鏡は、レンズの焦点距離が46メートルもあった。ただし、この望遠鏡は縄でさおからつり下げる構造だったため、少しの風でも揺れ動くという欠点があった。

 一方、オランダのホイヘンス兄弟は、筒を使わずに長い望遠鏡を製作した。対物レンズを野外の高い場所にある台に据え付け、観測者はそこから最大60メートルも離れた場所に画像を拡大する接眼レンズを設置して、のぞき込むというものだ。

 こうした望遠鏡が生まれたことで、もっと多くの星をじっくり見たいという天文学者の欲求はますます高まった。万有引力の法則を発見した、あのアイザック・ニュートンは、レンズの代わりに凹面鏡を使って、実用的な反射望遠鏡をつくった。鏡はレンズと違い、片方の面だけを研磨すれば、星の光を集めて焦点に反射させることができる。そのため鏡を大型化しても、背後からしっかり支えられるようになった。屈折望遠鏡の場合、レンズを大きくすると、自重で変形するという問題があったのだ。

 英国の天文学者ウィリアム・ハーシェルは、1781年に自作の反射望遠鏡で天王星を発見するという偉業を成し遂げた。自宅の庭と地下室で金属製の反射鏡を鋳造していたが、あるとき、馬糞でつくった鋳型が割れ、どろどろに溶けた“金属の川”から逃げなければならなかったという苦いエピソードもある。

 20世紀に入り、望遠鏡は大型化の一途をたどる。1948年には、米国カリフォルニア州南部のパロマー天文台に、口径5メートルの主鏡をもつヘール望遠鏡が誕生。その後数十年間、この大きさを上回るものは現れなかった。

すばる、ジェミニ、ケックの登場

 現在、最大級の望遠鏡は口径10メートル前後の主鏡を備え、その集光力はヘールの4倍もある(集光力が高いほど、暗い光を観測できる)。なかにはビルのように巨大で、操作が高度に自動化されている望遠鏡もある。日没が訪れると自動的に光学装置を作動させ、天井のドームを開き、適切な順序で夜通し観測を続け、天候が悪化しそうになるとドームを閉じる-これだけの操作を人間の手をほとんど、あるいはまったく借りずにやってのけるのだ。

 それでも、天文台の人間が手を出す場面はまだ多い。たとえ何の問題もなく観測が行われているかを確認するだけでも、手を抜くわけにはいかない。現在の大型望遠鏡は一晩観測ができなくなるだけで、最大約1000万円もの運営コストが無駄になるからだ。

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