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砂漠に恐竜を求めて

JULY 2009

文=富田京一

20世紀の初め、人々は太古の化石を求めて未踏の砂漠を目指した。現代も新発見が相次ぐ、ゴビ砂漠やサハラ砂漠の恐竜発掘物語。

 冬にもかかわらず、50℃を軽く超す日中の酷暑と、頻繁に襲ってくる砂嵐。ドイツの古生物学者エルンスト・シュトローマーは、そんな過酷な環境をかいくぐり、アフリカのサハラ砂漠にあるバハリヤ・オアシスに到着した。シュトローマーは当時、40歳を迎えたばかり。前年よりエジプトに滞在し、カイロを拠点にした3度目の遠征でようやくここまでたどり着いた。1911年も明けて間もない1月、第1次世界大戦前夜の空気に包まれていた時代のことである。

 当時のバハリヤは、オアシスとは名ばかりの、砂漠の中に孤立する窪地ともいうべき場所だった。シュトローマーは、この地の白亜紀半ばの地層で、肺魚やワニの歯などのほか、巨大な動物のものとみられる化石を掘り当てた。長さ110センチに達する大腿骨や、脊椎、骨盤の一部、カギ爪も見つかった。

 これらはエジプトで初めて発見された恐竜の化石だった。肉食とみられるこの獣脚類の恐竜を、シュトローマーはのちにバハリアサウルスと命名する。しかし、当時の彼にとって、この発見には喜びだけでなく、戸惑いもあった。

 今回の遠征におけるシュトローマー自身の真の目的は、この地で最初期の哺乳類化石を見つけ出すことだったからである。

 現在では、人類のアフリカ起源説が自明のものとして認識されている。しかし20世紀初頭の学界においては、先進地域とされていたヨーロッパこそが人類発祥の地と強く信じられていた。シュトローマーのねらいは、その人類ヨーロッパ起源説に一石を投じることだった。

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