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砂漠に恐竜を求めて

JULY 2009


恐竜発掘の「大航海時代」

 恐竜研究は、1820年代に英国で始まった。当初は発掘地といえば、もっぱらヨーロッパだったが、19世紀の後半になって北米で発掘ラッシュが巻き起こり、やがて世界各地へ拡大する。15世紀から17世紀にかけてヨーロッパ諸国が世界各地に進出した時代は「大航海時代」と呼ばれる。これにならうなら、シュトローマーが活躍した20世紀初頭は、恐竜発掘史における大航海時代といえるだろう。

 米国ニューヨーク市にあるアメリカ自然史博物館の古生物学者で、のちにその館長となるロイ・チャップマン・アンドリュースも、その“航海”に乗り出した一人。彼の率いる探検隊が中国とモンゴルにまたがるゴビ砂漠へ向かったのは、シュトローマーのエジプト探検よりも少し遅い1922年のことであった。

 アンドリュースは、この探検より前に日本でクジラを研究していたこともあり、アジアの地誌にも通じていた。そのなかで彼の関心がゴビ砂漠へ向かった動機は、奇しくもシュトローマーのそれとよく似たものであった。すなわち、アンドリュースは人類発祥の地を中央アジアと仮定し、その証拠にふさわしい古人類および古代の哺乳類化石を求めて旅立ったのである。

 アンドリュースたちは、この地で白亜紀の小型哺乳類や、新生代の絶滅したゾウやサイの化石を発見していたものの、シュトローマーと同様、人類発祥の鍵を握る化石を発見するには至っていなかった。だがその後の探検で、彼らもまた期せずして、地球の歴史という点でははるかにスケールの大きな発見-恐竜化石に遭遇したのである。

 調査隊が最初に恐竜化石を発見したのは、現在でいう中国・内モンゴル自治区のエレンホト付近である。ここはモンゴルとの国境地帯に当たる。わずか数名のチームに過ぎなかったシュトローマーの一行と違って、アンドリュースの探検隊は隊員40名にラクダ75頭、それに当時としてはハイテク機器だった自動車5台を含む大がかりなものだった。

 アンドリュース探検隊はこの地域で、小型の獣脚類であるヴェロキラプトルやオヴィラプトル、角竜類のプシッタコサウルスやプロトケラトプス、鎧竜類ピナコサウルスなど、実に多くの恐竜化石を発見した。世界で初めて恐竜の巣と卵の化石を一緒に見つけたのも彼らだ。これをきっかけに、恐竜の子育てや社会構造を研究する扉が開かれた。

 しかし、アンドリュースが残した最大の功績は、以後も続々と新発見が相次ぎ、現在では世界有数の恐竜化石発掘地となっているゴビ砂漠というエリアそのものを見いだし、人々に紹介したことだろう。

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