/2009年6月号

トップ > マガジン > 2009年6月号 > シリーズ 地球のいのち アマゾンカワイルカ


定期購読

翻訳講座

ナショジオクイズ

クズリというこの動物で正しいのは?

  • イタチ科
  • クマ科
  • スカンク科

答えを見る

ナショジオとつながる



特集

シリーズ 地球のいのち
アマゾンカワイルカ

JUNE 2009


 ハミルトンらが行ったDNA解析によれば、カワイルカは、海生の原始的なクジラ目からそれぞれ別々に分岐したことがわかった。まず南アジアのカワイルカ、続いて中国と南米のカワイルカが登場した。現在の海生のイルカが現れたのはその後である。

 地理的に接触がなく、遺伝的にも異なる種同士が、似通った生息環境に適応し、同じような特徴を発達させる現象のことを収斂進化と呼ぶ。カワイルカはその一例と言えるだろう。

 毎年3月ごろになると、アマゾンカワイルカは太古の時代の広大な住環境を取り戻す。ブラジル西部のマミラウア自然保護区でも、アマゾン川の2本の支流が氾濫し、何千平方キロにおよぶ熱帯雨林が半年にわたって、樹木の突き出た“海”に姿を変える。

 ここでカワイルカの研究を始めて16年になる英国ケント大学のトニー・マーティンは、ブラジル人の同僚ベラ・ダ・シルバとともに、とりわけ雌イルカが雨林の奥深くまで分け入ることを発見した。そしてこう推測した。灰色の体をした雌たちは、攻撃的なピンク色の雄から身を隠そうとしているのではないか、と。

 マーティンらは、雄のピンク色の肌は過去の傷の痕跡だと考えている。「雄は乱暴で、互いにあごや尾、ひれにかみつくこともあれば、噴気孔を引き裂くこともある。つまり、大型の雄は体中、傷跡だらけなのです」

 氾濫した水が引くと、狭くなった水路に雌も雄も集まってきて、カワイルカは繁殖期を迎える。ピンク色になる雄はわずかだが、彼らは特に雌によくモテるのだという。

 この時期になると、雄は水草や枝をくわえて水面に顔を出し、くるくるとスピンしたり、水に浮いているものを叩いたりする。

Back2next

年間購読のお申込はこちら

ナショナル ジオグラフィック バックナンバー