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地球のいのち
両生類の危機

APRIL 2009


 ブリーデンバーグはシックスティー・レイク・ベイスンの湖を、魚がいなかった20世紀以前の状態に戻し、カエルの群れを復活させることにした。彼は湖面いっぱいに大きな網を張り、かかった魚を処分していった。

 やがて国立公園局がこの作業を引き継ぎ、今では魚がゼロかほとんどいない湖が14カ所できた。魚が減るにつれて、「カエルが姿を見せはじめ、湖に生命が戻ってきました」と、ブリーデンバーグは言う。

ツボカビと闘う

 だが、そこへ新たな危機が到来した。シックスティー・レイク・ベイスンに入り込んだカエルツボカビ菌が、100カ所前後の湖を次々に襲い、カエルを死に追いやったのだ。魚を除去し、生態系を回復させたと思ったとたん、「この病気のせいで、再びカエルたちが大量に死んでしまいました。胸が張り裂けそうでした」と、ブリーデンバーグは振り返る。

 それでもブリーデンバーグは、あくまで前向きだ。彼はシックスティー・レイク・ベイスンの第8池を「勝利の池」と呼んでいる。カエルが死んでいるのを見つけたブリーデンバーグは、一部の成体を池から隔離し、抗真菌薬による治療を施してから元に戻した。数はまだ少ないが、第8池の個体数はここ3年間安定している。

 ブリーデンバーグは、この「捕獲・治療・再放流」という手間のかかるカエルツボカビ症対策をシックスティー・レイク・ベイスンの他の池でも始める計画だ(最近、英国の研究チームがスペインのマジョルカサンバガエルに同様の治療を施すと発表した)。カエルの体内からツボカビ菌を十分に除去できれば、発症せずにすむかもしれないと、ブリーデンバーグは言う。

 明るい知らせは別の場所からも届いている。カエルツボカビ菌に感染しないか、感染しても健康状態に大きな影響が出ない両生類もいる。コスタリカに生息するアマガエルには、日光浴中に皮膚が乾燥するのを防ぐ色素を持ち、太陽の熱でツボカビ菌を殺してしまう種もいることがわかった。

 そして最も心強いニュースは、米国ジェームズ・マディソン大学のリード・ハリスらが、サンショウウオと一部のカエルに先天的な防御機能が備わっている事実を発見したことだ。

 この防御機能とは、ツボカビ菌の感染を抑制する皮膚の共生細菌である。「この善玉菌を増やしてツボカビ菌の感染を抑制できれば、カエルが自力で免疫を強化する時間が稼げるかもしれません」と、ハリスは言う。「この方法なら、自然環境に今あるもの以外を付け加える必要がありません。私たちはカエルツボカビ症の大流行を止められるかもしれないのです」

 「両生類の箱舟」プロジェクトは、こうした対処法の研究にも役立つかもしれない。

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