/2009年4月号

トップ > マガジン > 2009年4月号 > 特集:地球のいのち 両生類の危機


定期購読

ナショジオクイズ

Q:世界遺産ストーンヘンジの名前の由来になった言葉といえば次のうちどれでしょう。

  • 石の大舞台
  • 石の絞首台
  • 石の天文台

答えを見る



特集


シリーズ
地球のいのち
両生類の危機

APRIL 2009


 これに対し、必死の努力は続けられている。たとえば南イリノイ大学の研究者カレン・リップスらは、90年代後半にコスタリカとパナマでカエルツボカビ症による個体数減少を報告すると、ツボカビ菌の伝播経路を調査して将来の感染を予測、2000年までに最も危険な状態にある種の個体を集めて「避難」させた。一時避難先は動物園などの公共施設のほか、水槽をたくさん置けるならどこでも利用した。さらに、多くの個体を米国の動物園に送り、パナマ国内にも1000体近くの個体を収容できる施設をつくった。

 こうした試みがきっかけとなって誕生したのが、現在も活動の輪を広げている国際的プロジェクト「両生類の箱舟」だ。500種以上を飼育下で保護し、危機を脱したあかつきには野生に戻すことを目指している。

シックスティー・レイクの悲劇

 両生類が最も劇的に減っているのは、多様な種が生息する熱帯地方だ。ただし、温暖な地方もツボカビ症の被害と無縁ではない。

 米国カリフォルニア州、シエラネバダ山系の「シックスティー・レイク・ベイスン」(60の湖がある盆地)もその一つだ。

 標高3400メートルにあるシックスティー・レイク・ベイスンは、巨大な石がむきだしになった美しい土地だ。かつては夏になると、湖はカエルの群れでにぎわった。いちばん多かったのは手のひらに乗るサイズのヤマキアシガエル。だが、最近はめっきり見つからなくなった。

 サンフランシスコ州立大学の生物学者バンス・ブリーデンバーグは、13年前からヤマキアシガエルの研究を続け、80カ所の湖や池を観察してきた。「少し前までは、この池に沿って歩いていると、1歩進むごとにカエルが跳びはねていました。たくさんのカエルが元気に活動し、身を寄せ合って日光浴をしていたのです」

 だが2005年、研究を再開するためにキャンプ地まで登ってくると、思わぬ光景が広がっていた。「いたるところにカエルの死体が転がっていました。私が何年も研究してきたカエルたち、目印をつけて暮らしぶりを追跡してきたカエルたちが、みんな死んでいたのです。あの時は地面にへたり込んで泣きました」

 研究対象として残った最大の個体群は、“第8池”にいる35匹ほどの群れだった。それ以外のカエルは、ほとんどが死に絶えた。

 この地域のカエルを最初に危機に陥れたのはマスだった。シエラネバダ山系の川では19世紀末まで、上流域にほとんど魚はいなかった。だが、やがて当局の方針で魚の放流が決まると、高地の湖を釣り人の天国に変える計画がスタートする。全部で1万7000カ所を超える山あいの湖や池に、魚が放流された。

 ところが、マスはオタマジャクシやまだ若いカエルを食べてしまうことが判明した。そのため、マスの数が急激に増える一方で、カエルはどんどん姿を消していった。

Back3Next

年間購読のお申込はこちら

ナショナル ジオグラフィック バックナンバー