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特集


空を彩る妖精
ハチクイ

FEBRUARY 2009

文=ブルース・バーコット 写真=ヨージェフ・L・セントペーテリ

フリカで冬を過ごす渡り鳥、ヨーロッパハチクイ。空を彩る美しい姿とは対照的に、その一生は冒険や陰謀に満ちている。

 詩に歌われるために生まれてきたような鳥がいる。英国のロマン派詩人ジョン・キーツにとってのナイチンゲールや、米国のエドガー・アラン・ポーのワタリガラスなど。だが、ヨーロッパハチクイの暮らしは、むしろ壮大な長編小説といえる。

 華麗な姿で送るその波乱万丈の生涯は、危険な旅や陰謀、裏切り、そして複雑な家族関係に彩られている。矢のように空を駆け抜けるハチクイは、色とりどりで派手だ。栗色の頭、黒い目元、明るい青緑色の胸に、実った小麦のように輝く黄色ののど―捕食者から身を守るために地味な装いにしようなどとは、まったく考えもしないようだ。

 ハチクイはその名前のとおり、昆虫のハチを食べる(ほかにもトンボ、ガ、チョウなど、飛ぶものなら何でも捕食する)。空中でハチを捕まえると、枝にとまって毒抜きの作業に取りかかる。くちばしにくわえたハチの頭を、枝の片側に強く叩きつけ、反対側に腹部をこすりつける。するとハチは気絶して、毒が流れ出す。

 ヨーロッパハチクイ(学名 Merops apiaster)のほとんどが群れをつくり、スペインからカザフスタンにわたる広い地域で、春から夏にかけて子育てをする(少数だが、南アフリカを主な生息地とする群れもいる)。農地や野原、川が流れる谷は昆虫の宝庫だ。ハチクイは、ミツバチの巣を見つけると、満腹になるまで食べる。巣のそばにいたハチクイの胃袋に、100匹ものハチが収まっていたという報告もある。

 ヨーロッパのミツバチは冬になると巣から出てこなくなり、ハチクイは主な食料源を失う。そのため、夏が終わると、若いハチクイたちは平穏な生活に別れを告げて、群れとともに危険が待ち受ける旅に出る。スペインやフランス、北イタリアのハチクイたちは、大挙してジブラルタル海峡を渡り、サハラ砂漠を越えて西アフリカをめざす。ハンガリーをはじめ、ヨーロッパの中部や東部に生息するハチクイは、地中海とアラビア砂漠を越えて、アフリカ南部に渡って越冬する。

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