/2009年2月号

トップ > マガジン > 2009年2月号 > 特集:ダーウィン 生誕200年特集 PART 2 進化の父を継ぐ者たち 2009年2月号


定期購読

記事ランキング

ナショジオクイズ

Q:米国南東部ジョージア州のストーンマウンテンの岩肌に刻まれているこの歴史上の人物は次のうち誰でしょう。

  • ジェームス・ブキャナン
  • エイブラハム・リンカーン
  • ジェファーソン・デイビス

答えを見る

ナショジオとつながる



特集

地球のいのち
進化の父を継ぐ者たち

FEBRUARY 2009


 米国ハーバード大学のアルハト・アブザノフとハーバード大学医学部のクリフ・テイビンは、フィンチのくちばしの形を決める遺伝子を発見した。遺伝子はDNAの塩基配列として記されている。細胞内でそのスイッチが入ると、特定のたんぱく質がつくられて、遺伝情報が実際に体の特徴などとして表れる。これを「発現」という。フィンチの卵の中で胚が成長するとき、BMP4というたんぱく質をつくる遺伝子があごの部分で発現すれば、くちばしが幅広で深くなることが、二人の研究でわかったのだ。

 この特徴が最もよく表れているのが、オオガラパゴスフィンチである。そのくちばしは、大きな種子や木の実も砕けるほど丈夫だ。一方、カルモジュリンというたんぱく質をつくる遺伝子が発現すると、くちばしは長く細くなる。その代表がオオサボテンフィンチで、サボテンの実をほじって種をかきだせるぐらいくちばしが長い。

 次に、米国フロリダのメキシコ湾岸沖の島々に舞台を移す。ここにすむハイイロシロアシマウスは、本土の個体よりも毛の色が薄く、白っぽい砂浜で敵に見つかりにくい。ハーバード大学のホピ・ヘクストラらは、ある遺伝子の暗号が1文字違うだけで、色素の生産量が減り、毛の色が薄くなることを確かめた。フロリダの島々ができたのはせいぜい6000年前だから、この変異はそれ以後に起きたことになる。

 このように近縁種の中でも特徴が分かれるのは自然選択(自然淘汰)の結果だと、ダーウィンは見抜いていた。一方で、進化は氷河の流れのように速度が遅いので、化石など遠い昔の証拠からしか確認できないとも考えていた。だから最近の発見を知ったら、さぞかし喜んだことだろう。現代のダーウィンたちは、ガラパゴスのフィンチが環境に合わせて進化していく様子を、リアルタイムで観察できるからだ。

 現在米国プリンストン大学に所属するピーター・グラントとローズマリー・グラントは、ガラパゴス諸島の大ダフネ島で、1973年から毎年フィンチの生息数調査を続けている。それでわかったのは、島の気候が湿潤から乾燥へ、そしてまた湿潤へと変わるたびに、フィンチが進化しているということだった。

 たとえば島が干ばつに襲われたとき、中型のフィンチは大型のフィンチとの食料の奪い合いを避けるために、くちばしが小さくなった。このフィンチはまだ新種とはいえないが、こうしたエピソードが何回か重なれば新種となり、元の種とは交配しなくなるだろうと、ピーター・グラントは考える。

 ガラパゴスのフィンチに起きた変化は、典型的な「適応放散」である。それぞれが独自の食べ物を選んだことで、共通の祖先から枝分かれしていったのだ。

Back2Next

年間購読のお申込はこちら

ナショナル ジオグラフィック バックナンバー