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特集

地球のいのち
絶滅危惧種

JANUARY 2009


 ESAは1973年12月、当時のニクソン大統領の署名で成立した。米国政府は、絶滅危惧種の保護をうたったワシントン条約の締結国として、国内の保護活動を推進するためにこの法律を制定したのである。

 ESAはいわば人間以外の生物の生存権を保障した法律だ。その目的は、絶滅危惧種を指定することに加え、その生息地を保護することにある。たとえば、ニシアメリカフクロウの亜種(学名Strix occidentalis caurina)が生息する森や、パーチ科の淡水魚(学名Percina tanasi)のすむリトルテネシー川などが保護の対象となった。ESAの制定以来、議論の的となってきたのは、この生息地の保護である。保護の対象となった地域では通常、生態系を改変するような人間の活動が禁止される。そこにこの法律を施行する難しさがある。

逆風だらけの法律

 では、この35年で生態系の危機は回復に向かってきたかというと、そんなわけでもない。ESAが成立した1973年は、米国の人口は今より1億人ほど少なく、世界全体では約28億人少なかった。当時はまだ、現在問題になっているような地球温暖化も、それが野生の動植物におよぼす影響も、ほとんど知られていなかった。ところが今や、温暖化ばかりか生息地の破壊や森林伐採、漁業資源の乱獲、渡り鳥の激減など、問題は山積みだ。35年前に比べると、ほとんどの生物にとって生息環境は格段に悪化している。

 それでもなお、ESAの施行には抵抗が大きい。この法律は、私有地でも絶滅危惧種の「捕獲」(これには危害を加える、追いかける、狩猟の対象にする、傷つける、殺す、罠(わな)を仕掛けるといった行為が含まれる)を禁止している。生息地の破壊につながる行為も違法とされる。これに対して土地の所有者は、自分の土地をどう利用しようと自由であり、政府の規制は憲法で保障された権利の侵害になると主張する。

 この法律は1980年代末以降、複数年の予算が計上されないまま、年度ごとに内務省が予算を申請してかろうじて存続してきた。さらにブッシュ政権は、保護の予算を削ったり、絶滅危惧種を認定するための学術調査を政治問題にするなど、ほとんど手段を選ばずに、この法律そのものを絶滅に追いやろうとした。ブッシュ政権の8年間に絶滅危惧種のリストに加わった動植物はわずか64種。父親のジョージ・H・W・ブッシュが大統領を務めた4年間に指定された235種と比べても、際立って少ない。

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