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特集

標的は地球?
小天体接近

SEPTEMBER 2008


恐竜を滅ぼした小天体

 宇宙空間には、岩でできた小惑星と、氷とちりからなる彗星が合わせて約1000万個あって、一定の軌道上を移動していると考えられている。そのため時として、地球の軌道と交差することがある。約6500万年前、メキシコ湾に猛スピードで突入した直径約10キロの巨大隕石は、よく知られている。この時は、世界中に存在する全核兵器の数千倍に及ぶ巨大なエネルギーが放出された。「その日、地球は炎に包またことでしょう」と、元宇宙飛行士の物理学者エド・ルーは言う。この衝突で、恐竜を含む生物種の4分の3が絶滅したのだ。

 1908年6月30日には、15階建てのビルほどの大きさの小天体が、シベリア奥地のツングースカに落下した。小惑星か小型の彗星だったとみられるが、地表から数キロの上空で爆発し、その衝撃と熱風で周辺の2000平方キロあまりで樹木が焼き払われ、なぎ倒された。ツングースカ大爆発から今年で100年がたつが、数百年に1度の割合で同規模の小天体が地球に衝突するという気がかりなデータもある。

 次の衝突を人類が予測できるという保証はない。ツングースカ大爆発を引き起こした小天体はそれほど大きくはなかったが、都市を壊滅させるには十分な破壊力をもっている。しかも、こうした小天体のほとんどはどこに潜んでいるかわからないのだ。「知らないほうが幸せでしょう」と、ルーは言う。しかし、今後数十年間で、トーレンのような天文学者によって、未知の小惑星が数多く発見されるはずだ。「わずかでも地球に衝突する可能性のある小惑星なら次々と見つかるはずです」と、ルーは話した。

 小天体が地球に大接近する日時を予測することだけが、研究者たちの目標ではない。惨事を未然に防ぐことも重要な課題だ。数年、あるいは数十年の準備期間があれば、接近する小惑星に向けて宇宙機を打ち上げ、その小さな引力を利用してわずかながら、軌道を変えられる可能性がある。もっと大きな力が必要な場合には、宇宙機を体当たりさせる自爆攻撃や核爆弾が有効かもしれない。ただし、各国政府が決断できるかどうかが問題だ。「世界はまだ、ここまで大規模な問題に対処する準備ができていません」と、小惑星の核爆破を提唱する核物理学者デビッド・ディアボーンは言う。

 明らかな事実が二つある。一つは10年後であれ500年後であれ、「その日」はいつか必ずやって来るということ。心強いもう一つの事実は、とてつもない規模の自然災害を防ぐ方法を人類が手にしているということだ。

 地球には毎日、彗星のちりや小惑星のかけらである岩の破片が数十トンも降ってくるが、それらは高層大気中で燃え尽き、夜空に尾を引く流星になる。また、握りこぶしほどの大きさの岩や金属の塊が、大気圏突入時の衝撃に耐えて、地上に落ちてくることも1日に数個はある。

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