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進化の謎を解く
恐竜の墓場

AUGUST 2008


 最終的に、5体の小型恐竜の化石が周囲の岩ごと掘り出された。その後、化石は北京に移送され、徐が率いる技術者チームによって、岩から外されることになった。

 化石を閉じ込めていた岩の成分を分析したところ、火山灰が多く含まれていることがわかった。恐竜たちが死ぬ前に、近くの火山が噴火したようだ。周辺に大量の灰が降り、湿地帯は粘度の高い泥に覆われることになった。そして、こうした軟弱な地面を巨大な竜脚類が歩き回ったことで、いたる所にくぼみができ、やがて、恐竜を閉じ込めることになる$quot;死の底なし沼"ができたと考えられる。

 こうした底なし沼はこれまでに3カ所見つかっている。そのうちのひとつでは、小型のケラトサウルスに寄り添うようにワニ類の化石が出土した。別の底なし沼では、頭のないケラトサウルスの化石が3体見つかっている。しかし、最も注目を集めたのは、ティラノサウルスの祖先種にあたる恐竜の化石が発見された沼だ。

 体重75キロほどのこの恐竜に、徐は“グアンロン”と名づけた。中国語で「冠をかぶった竜」という意味だ。その名が示すとおり、鼻のすぐ上から後頭部にかけて、冠のような“とさか”が生えていた。しかし、グアンロンが注目された理由はその外見ではない。この恐竜が実は、「暴君トカゲ」として知られるティラノサウルス類の最も古く、最も原始的な種であることがわかったからだ。グアンロンを出発点として、9000万年以上の進化の果てに凶暴なティラノサウルス・レックスが出現することになる。

 メリーランド大学でティラノサウルスを研究するトマス・ホルツは次のように話す。「何より驚いたのは、“暴君トカゲの王”と呼ばれるティラノサウルス・レックスの祖先が、とても小さかったということです。ティラノサウルスの進化の歴史をたどると、彼らが頂点に君臨したのは、ほんの一時期だけだったのでしょう」

 驚いたことに、最初に発見されたグアンロンの下から、さらに小型のグアンロンが見つかった。泥沼でもがいていた若いグアンロンを食べようとして、成長した大人のグアンロンも沼にはまり、息絶えたのではないかと推測されている。「それは十分に考えられます。発掘されるティラノサウルスの頭骨に、仲間に襲われた跡がいくつも見つかっていますから」と、ホルツは話す。

 2008年の晩夏、クラークと徐はジュンガル盆地で再び発掘調査を行う。「見つかっていない化石はまだたくさんあります。何が出てくるのか楽しみです」と、クラークは胸を躍らせる。

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