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スプートニクから50年
宇宙開発 次の一手

OCTOBER 2007


 1963年にはソ連のワレンチナ・テレシコワが、女性として初めて宇宙を飛行。1965年にソ連のアレクセイ・レオノフが世界で初めて宇宙遊泳を行うと、翌年には米国のニール・アームストロングとデイブ・スコットが初めて宇宙空間で衛星同士のドッキングを成功させた。

 1961年に米国のジョン・F・ケネディ大統領が「60年代が終わるまでに」人類を月に送ると公約したのを受けて、米航空宇宙局(NASA)の研究者フォン・ブラウンとソ連のコロリョフは、これまでにも増して複雑なテスト飛行を重ね、軌道上での訓練も加速させた。両国の競争は、何トンもの物体を宇宙に送れる巨大な月ロケット、米国のサターンVとソ連のN-1の建造で頂点を極めることになる。

 だが両国の計画は、ともに悲劇につきまとわれてもいた。米国では1967年1月27日、ケネディ宇宙センターでの訓練中に、宇宙船アポロ1号のカプセル内で火災が発生。バージル・グリソム、エド・ホワイト、ロジャー・チャフィーの3飛行士が犠牲になる。

 ソ連の計画はその前から壁にぶつかっていた。1966年にコロリョフが亡くなると、60年代末に向けて同国の月への有人飛行計画は勢いを失っていったのだ。米国は、アポロ1号の欠陥を修正すると、1968年12月21日に月を周回する最初の有人宇宙船を打ち上げた。

 追いすがるソ連も、1969年7月3日にN-1ロケットの2度目のテスト飛行を実施する。ところが発射台の約200メートル上空で金属部品が脱落し、数秒後には燃料を満載した2800トンの大型ロケットが地上に墜落した。その大爆発は発射場を破壊したばかりか、ソ連の月への野心さえも吹き飛ばしてしまった。その17日後の1969年7月20日、米国のサターンⅤはマイケル・コリンズ、ニール・アームストロング、エドウィン・オルドリンの3飛行士を月へ送り届ける。この時、米国の興奮は最高潮に達した。

 しかしわずか3年で、黄金時代はあっけなく終わる。ベトナム戦争によって資金不足に陥った米国が、スペースシャトルや国際宇宙ステーションの費用を捻出するために、月へのミッションをうち切ったのだ。同じく資金難を抱えるソ連も、月に背を向け、サリュートやミールといった軌道上の宇宙ステーションでの長期滞在任務に重点を移した。

 有人宇宙飛行に対する一般の関心も弱まっていった。東西冷戦の緩和や、それに続くソビエト連邦の崩壊で、政治的な宣伝効果が薄れてしまったのも一因だが、「観衆」を減らす最大の要因となったのは、技術的な「見せ場」が相対的に少なくなったためだろう。

 低軌道の宇宙飛行において、最大の呼び物は宇宙遊泳だった。しかし、そのもの珍しさはほどなく色あせる。最近では重さが何トンもあるような宇宙ステーションの建設用パーツを手で操るといった、従来になく難しい作業も行われているが、それがどれほど高度な技なのかは見た目にはわからない。

 かわってメディアの関心を引くようになったのは無人の探査機だ。無人探査は、それ以前からもずっと、価値ある成果を残してきた。ソ連の探査機ベネラ9号は、1975年に硫酸の雲をついて金星の表面に降下。気温460℃、90気圧の環境に耐えながら、金星表面の画像を地球に送信した。これは地球以外の惑星表面をとらえた最初の画像となった。

 ボイジャー1号は、1977年にNASAが打ち上げた探査機で、太陽の影響を受けない星間空間へ向けて、今も宇宙を旅し続けている。この探査機は、土星を通過した後の1990年2月14日、これまで来た方向を振り返ってシャッターを切った。それは太陽系の惑星たちを外側から撮った史上初の「ポートレート」となった。

 近年も、無人ミッションは数多くの成果を上げている。火星探査車のスピリットとオポチュニティは、2004年から火星表面を走りまわっているし、土星探査機カッシーニは、土星とその衛星を調査中だ。彗星探査機のディープ・インパクトは、2005年に重さ約370キロの物体をある彗星に衝突させ、生じたクレーターや粉塵から彗星の組成を分析した。軌道を回りながら観測するハッブル宇宙望遠鏡なども、息をのむような画像を尽きることなく送ってくれる。

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